熊本地震 地下水水位で地殻のひずみを感知 熊本大学など研究

8年前に起きた熊本地震について県内の地下水の水位を分析したところ、水位が地殻のひずみを感知するセンサーとして機能していることがわかったとする研究成果を、京都大学と熊本大学のグループが発表しました。

この研究は、京都大学と熊本大学のグループが国際的な科学雑誌「サイエンティフィック・リポーツ」で発表しました。

熊本県の阿蘇外輪山の西側にある熊本市などの地域は、地下水が豊富なことから多くの観測井戸があり、地下水位などのデータが継続して観測されています。

研究グループは2016年に熊本地震が起きた前後16年間の地下水位のデータを対象に地殻変動に関連する部分を抽出しました。

その結果、2011年の東日本大震災の後、低下し続けた水位のデータが3年後に増加に転じ、熊本地震まで増加し続けたという特徴がありました。

研究グループはこれを地殻のひずみの増大によるものと考え、特に地殻のひずみと関連が高いデータを示した井戸は、熊本地震の発生源となった布田川断層帯までつながっている帯水層に位置することがわかったということです。

これらの井戸の水位は、2019年と2022年に熊本県で起きた地震でも、地殻のひずみとの関連を示したということです。

こうしたことなどから、研究グループは地下水の水位が地殻のひずみを感知するセンサーとして機能していることがわかったとして、今後、地下水位を詳しく観測すれば、地震発生に関連した地殻のひずみの変化をより高い精度で把握できる可能性があるとしています。