水俣病集団訴訟 訴え退けた地裁判決を不服として原告側が控訴

水俣病をめぐる国の救済策の対象とならなかった人たちが国などに賠償を求めた裁判で、熊本地方裁判所が先月、原告側の訴えを退けた判決を不服として、4日、原告側が控訴しました。

水俣病をめぐり、2009年に施行された特別措置法の救済策で対象とならなかった人たちが国と熊本県、原因企業のチッソに損害賠償を求めた裁判では、熊本地方裁判所が先月22日、原告144人のうち25人を水俣病と認めた一方、賠償を求めることができる「除斥期間」が過ぎているとして、原告側の訴えを退ける判決を言い渡しました。

この判決を不服として、4日、原告のうち143人が福岡高等裁判所に控訴しました。

原告側は熊本市中央区で会見を開き、団長の森正直さん(73)が「判決の根底には、水俣病の歴史と苦しみ続けてきた被害者に向き合おうとしない姿勢がある。私たちは間違いなく被害者であり、司法の良心が高裁では必ず示されると信じて、仲間と闘い続けたい」と述べました。

一方、熊本地裁では1250人あまりの裁判も続いていて、原告側は引き続き審理に臨む一方、高齢化が進んでいることから、新たな救済策を早期に設けるといった対応を国などに求めることにしています。