JR肥薩線 八代〜人吉の区間 鉄道での復旧進める方向で合意

4年前の豪雨で被災し、一部の区間で今も不通が続くJR肥薩線をめぐり、熊本県やJR九州などは、八代駅と人吉駅の区間について、鉄道での復旧を進めていく方向で合意しました。

4年前・令和2年7月豪雨で被災したJR肥薩線は、熊本県と鹿児島県の間の一部区間で不通が続いていて、関係機関が復旧方法などに関する検討会議を設けて協議を進めてきました。

3日は熊本県庁で7回目となる会議が開かれ、熊本県や国土交通省、それにJR九州の担当者が出席しました。

会議は冒頭を除いて非公開で行われ、県などによりますと、熊本県からは復旧後の日常利用の促進に向け、沿線の自治体の職員や住民らによる鉄道の利用を増やしていくなどの具体策が示されたということです。

これを受け、熊本県とJR九州、それに国土交通省は、八代駅と人吉駅の区間について、鉄道での復旧を進めていく方向で合意したということです。

また、復旧後は沿線の自治体が線路など施設の管理を担う「上下分離方式」を採用することや、今後、観光振興と日常利用の促進に向けた具体策について、詳細を詰めることなどでも合意しました。

そのうえで、今年度の末に最終合意することを目指すとしています。

検討会議のあと、JR九州の松下琢磨常務は「熊本県からは観光と日常、両方の利用促進に向けた具体的な考え方や施策が示され、納得して合意できた。これらを開業までに実現させることが重要なため、具体化に向けてしっかり取り組んでいきたい」と話していました。

これについて、蒲島知事は「任期中に肥薩線の鉄道復旧に全力であたってきたので、とても安堵している」と述べました。

そのうえで、「さきほど、JR九州の古宮社長に電話をして、今回の決断に心からお礼を伝えた。今後は新知事の下で、円滑に今年度での最終合意に向けて、しっかりと協議を進めてほしい」と話していました。

これについて、人吉市の松岡隼人市長は「これまで沿線自治体とともに、鉄路での復旧をお願いしてきましたが、今回、大きく一歩前進したことは大変喜ばしいと思います」と話しています。

今回の合意について、JR九州の古宮洋二社長は「肥薩線が、将来にわたって持続的に地域に必要な役割を果たしていけるよう、鉄道での復旧に向けた検討を深めていきます」とするコメントを出しました。