「地区防災計画」策定 県内の自主防災組織での策定は2割余

東日本大震災から11日で、13年です。
被災地では当時、行政だけで対応しきれない事態が相次いだことを受け、国などは、住民どうしが事前に対応を決めておく「地区防災計画」の策定を呼びかけていますが、熊本県内の自主防災組織でこの計画を策定しているのは、全体の2割余りにとどまっていることが、県への取材で分かりました。

13年前の東日本大震災をきっかけに、国や自治体は、大規模な災害で行政の対応が行き届かない場合でも地域で連携して避難や復旧にあたれるよう、住民どうしが事前に対応を決めておく「地区防災計画」の策定を住民に呼びかけています。

熊本県によりますと、この「地区防災計画」を策定している県内の自主防災組織は、ことし1月末の時点で、合わせて3721のうち、1025と2割余りにとどまっていることがわかりました。

8年前の熊本地震でも、住民どうしが助け合う「共助」の重要性が指摘されたほか、ことし1月の能登半島地震では、道路が寸断されるなどして行政による支援が地区に十分行き届かない事態も起きています。

計画の策定が進んでいない理由について、支援にあたっている各市町村に取材したところ、「『荷が重い』と住民側から作成を断られる」「自主防災組織のメンバーが集まれる機会がほとんどない」などといった声があがっていました。

一方、荒尾市では、策定のハードルを下げるため、住民が質問に答えていくだけで計画を作ることができるアンケート形式のマニュアルの整備を独自に進めていて、策定する自主防災組織が増えているということです。

地域防災が専門で熊本大学大学院の竹内裕希子教授は「地域の特性や事情に合わせて作るのが『地区防災計画』ですが、いきなり分厚い計画書を作る必要はなく、行政は、事例を示すなど住民が自発的に取り組んでいけるよう、支援にあたって欲しい」と話しています。