大川小学校児童の遺族が講演 ”悲劇を繰り返さない世の中に”

水俣病で多くの人が亡くなった熊本県水俣市で、東日本大震災の津波で多くの児童が犠牲になった宮城県石巻市の大川小学校の児童の遺族が、4日、講演し、「大川の悲劇を繰り返さない世の中にしなければならない」と述べました。

講演は、水俣と、児童74人が犠牲となった大川小のつながりを深めてもらおうと、熊本大学の准教授が企画し、津波で長女を亡くした只野英昭さんが招かれました。

只野さんは、原因を検証した石巻市教育委員会の当時の対応について、「しっかり真相を究明し、『ここが問題だったからこうします』というところを見せて欲しかった」と振り返りました。

只野さんたち遺族が真相を究明したいとして、市と宮城県を相手に損害賠償を求めた裁判では「津波の被害を予測できたのに防災対策を怠った」とした判決が確定しています。

只野さんは「あの日の前にやるべきことをやっていなかったことに問題があったと判決は言っている。2度と大川の悲劇を繰り返さない世の中にしなければならない」と述べました。

参加者からは「水俣病は原因企業のチッソなどが被害者と向きあわず裁判が今も続いている。一方で、自分自身が加害者の立場にいる時もある。真摯な行動がとれるか常に問うことが必要だ」などと話していました。