“早バレ”行為はどのように行われるのか

漫画雑誌が発売される前に、作品の画像をインターネット上に投稿し、公開するいわゆる「早バレ」と呼ばれる行為。

警察や、被害を受けた出版社によりますと、「早バレ」によって投稿された作品の画像の多くは、雑誌のデジタル版の電子データではなく、誌面を撮影したり、スキャナーなどで読み取ったりしたものだとみられるということです。

なぜ、発売前の誌面を撮影することができるのか。

雑誌が全国に流通し販売されるまでの流れをみると、出版社は、雑誌を正規の発売日に全国の書店で一斉に販売してもらうため、発売日よりも前に書店に雑誌を届けています。

この際、出版社側は、正規の発売日に販売を始めてもらうよう書店側に要請しているということですが、雑誌を取り扱う店舗のなかには、このルールを守らず、正規の発売日より前に販売しているケースもあるということです。

読み取った画像に修正を加えることで、紙の雑誌を読み取ったものではないように加工されたケースもあったということですが、出版社側が確認したところ、出版社から電子データなどが流出したものではなかったということです。


被害を受けた大手出版社によりますと、こうした「早バレ」によって画像がSNSに投稿された場合、利用者の興味に基づいた投稿が「おすすめ」などとして表示されるSNSの性質上、好きな漫画の「早バレ」の投稿が勝手に表示されてしまい、利用者が意図せず、続きの展開を読まされるケースがあるということです。

出版社には、読者から「定期購読をやめる」などといったクレームが1週間近くで1000件を超えたこともあるということです。

集英社知的財産課の冨重実也課長は「SNSの運営側に削除要請を行い、画像を消してもらうといった対応を取っていますが、要請する前に、投稿主が画像を削除するなどしてアカウントの停止や凍結を逃れることも多く、対応が追いついていない」と話しています。

その上で「作品がただで読まれてしまうことで作者に正当な対価が入らない状況になっている。漫画の作品を勝手に撮影してSNSに投稿することは著作権の侵害にあたると考えており、そうした行為はやめていただきたい。業界の仕組み自体を揺るがしかねない許しがたい行為だ」と話しています。