「パワハラと自殺に因果関係」上益城消防組合に賠償命じる判決

5年前、熊本県の上益城消防組合の男性職員が上司からのパワーハラスメントを訴えて自殺し、遺族が消防組合に損害賠償を求めた裁判で、熊本地方裁判所は「パワハラと自殺には因果関係がある」などとして、消防組合に4000万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。

熊本県の上益城消防組合消防本部に勤務していた当時46歳の男性係長は5年前、「上司からパワハラを受けた」という遺書を残して自殺しました。

その後、消防本部が設置した弁護士などで作る第3者委員会は、上司だった元課長のパワハラが自殺の一因になったとする調査結果を公表し、男性の妻と息子が消防組合を相手に4000万円の損害賠償を求める裁判を起こしていました。

熊本地方裁判所の品川英基裁判長は2日の判決で、「元課長は同僚や後輩職員の前で男性を繰り返し叱責したり、優位的な地位を背景に、男性の質問に対して具体的かつ適切な回答をせず、質問をしたこと自体を責めるような発言をしていて、強い精神的な苦痛を与えたことが認められ、パワーハラスメントに該当する」などと指摘しました。

そのうえで、「パワーハラスメントと自殺には因果関係がある」として、消防組合に対し4000万円の賠償を命じました。

判決のあと、原告の代理人の森徳和弁護士は「公の機関に認められたことは大きい。組織が良くなることを期待したい」と話していました。

一方、消防組合は「判決を受領し、精査のうえで適正に対応したい」とコメントしています。