公職選挙法違反の罪 田尻善裕熊本市議に2審も有罪判決

去年行われた熊本市議会議員選挙で、田尻善裕市議が告示前に自身への投票を呼びかける文書を有権者に配ったとして公職選挙法違反の罪に問われた裁判で、福岡高等裁判所は1審と同じ、罰金30万円の有罪判決を言い渡しました。

去年4月の熊本市議会議員選挙で当選した田尻善裕被告(60)は、告示前の3月、自身への投票を呼びかける、法律で認められていない文書を配ったとして公職選挙法違反の罪に問われました。

1審の熊本地方裁判所は罰金30万円の有罪判決を言い渡したのに対し、議員側が控訴し、無罪を主張していました。

23日の判決で、福岡高等裁判所の市川太志裁判長は「公職選挙法の規定は、候補者を平等な条件の下で競争させることで、選挙の公正を確保するために定められたものと考えられる」と指摘しました。

その上で「自筆で記載した文書を配ったことに加え、真摯な反省の態度がうかがえないとした1審の評価は正当である」などとして議員側の訴えを退け、1審と同じ、罰金30万円の判決を言い渡しました。

この判決が確定した場合、公職選挙法の規定で原則5年間、公民権が停止されます。

判決のあと、田尻議員は福岡市中央区で会見を開き、判決について、「1審の判断を覆す新たな証人がいたのにもかかわらず、尋問が認められませんでした。真実をもとに判断されなかったのが不本意で、ことばにできないくらいの感情です」と述べました。

その上で上告するかについては「判決が出たばかりなので今後、検討します」とした上で、「応援してくださる方への責任も感じています。今後の議員活動についても、慎重に考えたいと思います」と述べました。