陸自北熊本駐屯地パワハラ訴訟 国に賠償命じる判決 熊本地裁

陸上自衛隊北熊本駐屯地の元自衛官が、在職中、上司や先輩から尿をかけられるなどのパワーハラスメントを受けてうつ病になり、退職を余儀なくされたとして、国などに損害賠償を求めた裁判で、熊本地方裁判所は国に対しておよそ175万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。

この元陸上自衛官は、入隊後に配属された北熊本駐屯地で、平成30年10月ごろから指導の名目で頭やほおを何度も殴られたり宿舎で足に尿をかけられたりするパワーハラスメントを上司と先輩あわせて5人から受け、うつ病と診断されて退職を余儀なくされたとして、国などに1100万円あまりの損害賠償を求める訴えを起こしました。

裁判は国に安全配慮義務違反があったかどうかなどが争点となりました。

熊本地方裁判所の品川英基裁判長は19日の判決で、「一部の行為は職務を行うなかで行われたもので国は損害賠償責任を負う」と指摘しました。

一方、「稚拙な行為を行わない義務は国や自衛官として負うものではなく、一般人として遵守すべき行動規範であり、国の安全配慮義務違反は認められない」などとして、国に対しおよそ175万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。

また、当時の上司と先輩の5人に対してはあわせて88万円の賠償を命じました。

陸上自衛隊北熊本駐屯地は「判決文を精査しているためコメントは差し控える」としています。