記録的豪雨で被災 球磨村の高齢者施設「千寿園」を高台に再建

甚大な被害が出た令和2年の記録的豪雨で被災し、入所者14人が亡くなった熊本県球磨村にある特別養護老人ホーム「千寿園」が村内の高台に再建され、19日、しゅんこう式が行われました。

「千寿園」は、3年半前の令和2年7月の記録的な豪雨で近くを流れる球磨川や支流が氾濫して1階部分が浸水し、14人の入所者が亡くなりました。

その後、建物は解体され、元の場所からおよそ3キロ離れた隣の人吉市の仮設の建物で運営を続けていました。

千寿園は村で唯一の特別養護老人ホームで、村内での再建を求める声があがり、高台にある総合運動公園の跡地を村が無償で貸し付け、去年1月から新たな施設の建設が進められて、このほど完成しました。

そして、19日、関係者などおよそ60人が出席してしゅんこう式が行われました。

施設を運営する社会福祉法人「慈愛会」の後藤亜樹理事長が「一時は再建を諦めていましたが、関係機関のご支援でしゅんこう式を迎えることができました。ご高齢の方が安心して快適に過ごしていただける施設を目指します」とあいさつしました。

完成した建物は鉄筋コンクリート造りの2階建てで、入所定員は60人です。

1階には4人部屋と2人部屋、ユニット型の個室、それにショートステイのための個室があります。

また、2階には交流室があります。

さらに、垂直避難を支援するエレベーターも設けられました。

「千寿園」に入所していた当時83歳の母親を豪雨災害で亡くした大岩正明さんは「千寿園にとってこれからが再スタートです。しっかり再建を果たし、地域に貢献する施設になっていただくことを希望します」と話していました。

仮設の施設に入所している人たちは、今月末までには完成した施設に移るということです。