慈恵病院など設置の「出自を知る権利」検討会 院長が訪仏報告

親が育てられない子どもを匿名で預かる、いわゆる「赤ちゃんポスト」などに取り組んでいる熊本市の慈恵病院などが設置した子どもの「出自を知る権利」の検討会が開かれ、匿名での出産が法制化されているフランスを視察した慈恵病院の蓮田健院長がフランスの現状などを報告しました。

熊本市の慈恵病院は、「こうのとりのゆりかご」、いわゆる赤ちゃんポストや、病院だけに身元を明かして出産する「内密出産」に取り組んでいます。

慈恵病院と熊本市は去年、大学教授や弁護士などでつくる検討会を設置し、子どもの「出自を知る権利」について議論を続けています。

11日は5回目の検討会が開かれ、オンラインも含め16人の委員が出席しました。

11日の検討会では、去年10月、匿名での出産が法制化されているフランスで病院や出自情報に関する国の管理機関を視察した蓮田院長がフランスの現状を報告しました。

その中で、「子どもが求める出自情報は個人差が大きく、細かいルールを定めるのは難しいと感じた。出自情報の収集や開示について、フランスでは臨床心理士など経験のある専門家が担っている」と述べました。

その上で、慈恵病院も「こうのとりのゆりかご」に預けられた子どもたちからの出自情報の開示の対応に直面しているとして、「子どもたちの気持ちに応えたい反面で、経験のない人間が担う危うさを感じている。こども家庭庁などに経験や知識のある専門家を置いて、出自情報の収集や開示の作業を担ってほしい」と述べました。

検討会ではことし12月をめどに、報告書をまとめる方針としています。