県助成金の不正受給問題 外部通報者が調査委ヒアリングうける

熊本の旅行支援事業の助成金をめぐる問題で、報道各社宛ての外部通報でこの問題を最初に指摘した関係者が、第三者の調査委員会のヒアリングをうけたことがわかりました。
関係者は旅行会社による不適切な受給を県の幹部が見逃すよう指示したと指摘していて、調査委員会による調査が続いています。

新型コロナの経済対策として県が行った旅行支援事業をめぐっては、ことし9月、報道各社宛ての外部通報で、旅行会社による助成金の不適切な受給や、こうした行為を見逃すよう県の幹部が部下に指示した疑いがあるとする指摘が出されました。

この問題で、県が先月立ち上げた弁護士による第三者の調査委員会が、調査を続けています。

こうしたなか、報道各社に外部通報を行いこの問題を最初に指摘した関係者がNHKの取材に応じました。

このなかで関係者は調査委員会から直接、ヒアリングを受けたことを明らかにしました。

ヒアリングは今月13日におよそ3時間半にわたって行われ、このなかで関係者は当事者の県ではなく、第三者の調査委員会や捜査機関などで改めて調査をしてほしいと伝えたということです。

調査委員会による調査は非公開で続いていて、事務局を務める県によりますと、結果は公表するということですが、時期は未定だとしています。

報道各社宛ての外部通報でこの問題を最初に指摘した関係者が取材に応じるのはこれが初めてです。
関係者は「不正に目をつぶるような指示に危機感を覚えた」としたうえで「一部の利害関係者にだけそんたくすることは慎み、県民にうそのない行政であってほしい」と述べました。

【外部通報を行った理由】
NHKは匿名を条件におよそ30分インタビュー取材を行いました。

このなかで関係者は、報道各社に外部通報を行った理由について、「何度か内部で声をあげたがそのたびに潰された。限界を感じて外部通報に頼らざるを得ないと考えた」述べました。

また、「県をおとしめたいわけではなく、真っ当な組織になり県民にうそのない行政であってほしいからだ」と述べました。

【音声データについて】
この問題では、ことし2月に行われた県内部の打ち合わせで県の幹部の意向が担当部署に伝えられる際、上司が部下に対して「もうよかろう」とか、「そこまで詰めないでいい」と述べ、旅行会社の不適切な行為に関する調査に後ろ向きだとも受け取れる発言をしたと指摘されています。

打ち合わせを録音したとする音声が残っていて、関係者の代理人弁護士から調査委員会に提出されています。

この音声について関係者は、自分が直接、県庁の執務室で聞いたものだと明らかにしました。

そのうえで、「多くの職員が仕事している中であの指示は行われた。不正に目をつぶるような指示を何の臆面もなく若い職員たちがいる前でやることにすごく危機感を覚えた」と述べました。

【県に対して】
また、関係者はインタビューのなかで県の対応について、「軌道修正をはかるチャンスがあったはずだが、逆にうそを重ねてしまっている」と述べました。

そのうえで「少なくとも今後は県民ファーストの姿勢であってほしい。一部の利害関係者にだけ忖度するようなことは慎んでほしいと願ってやまない」と述べました。

【県への取材では】
NHKは、熊本県に事実関係や受け止めなどについて取材しました。
県は「第三者の調査委員会において調査が行われている段階のため、コメントすることは難しい」としています。