熊本市で宿泊税の導入へ 検討委員会を立ち上げ

熊本市はコロナ禍を経て観光客の増加が期待されるなか「宿泊税」の導入を検討する委員会を立ち上げました。

31日は委員会の立ち上げにあわせて、熊本市役所で大学の准教授や旅行業の関係者など9人の委員に委嘱状が交付されました。

大西市長は「宿泊税の導入ありきではなく、制度のあり方や確保した財源をどう活用していくべきかなど専門の立場から幅広い意見をいただきたい」とあいさつしました。

このあと開かれた初会合で熊本市の担当者は今後、市内を訪れる外国人旅行者の増加が予想される中、受け入れ環境の向上に向けた新たな財源の検討が必要だと説明しました。

これに対し、委員からは、「魅力ある環境の整備のため中長期的な計画づくりが重要だ」とか、「導入する際には宿泊現場の負担感を減らす制度設計を考えるべきだ」といった意見が出ていました。

熊本市によりますと、市内の宿泊施設の客室稼働率はことし春以降70%を超えていて、新型コロナの感染拡大前に近い水準まで回復しているということです。

委員会では、来月にも宿泊事業者や旅行者を対象に、宿泊税に関するアンケート調査を行ったうえで、検討を進めていくことにしています。

「宿泊税」はホテルや旅館などに泊まる客から1泊につき数百円程度を徴収する地方税で、観光客の受け入れ環境の整備などに向けた財源に充てられます。

外国人旅行者の増加などにともなって導入する自治体があり、東京都や大阪府のほか、九州では福岡市や北九州市、長崎市などが導入しています。

税率などは自治体ごとに異なり例えば、福岡市では1泊あたりの宿泊料金が2万円未満だと150円、それ以上だと450円です。

また、京都市のように修学旅行で訪れる学生などは課税を免除する自治体もあります。

宿泊税の使い道は自治体ごとにさまざまで、観光客向けのWi−Fiの拡充や駅のエレベーターやエスカレーターの設置といった環境整備などに充てられるケースもあります。