TSMC子会社と地元自治体などが地下水維持に向け協定

熊本の新たな工場の操業で大量の水を必要とする台湾の半導体大手TSMCの子会社と地元の自治体などが地下水の維持に向けた協定を結びました。
米の栽培時期ではない水田に水を張って地下に浸透させる取り組みをTSMC側が財政面で支援する内容です。

協定を結んだのは、TSMCが熊本県菊陽町で建設を進める新工場の運営会社「JASM」と地元自治体などが参加する「くまもと地下水財団」です。

熊本県では、TSMCの進出をきっかけに多くの企業が進出していますが工場の操業には大量の地下水が必要で、地下に浸透していく水とくみ上げて使う水のバランスの維持が課題となっています。

このため、米の栽培時期ではない水田に水を張って浸透させて地下水の維持につなげる「かん養」と呼ばれる取り組みが進められていて、協定ではJASMが事業費の一部を支援するとしています。

財団によりますと、かん養に協力する農家への補助金など、今年度必要な事業費はおよそ1180万円で、この一部に支援をあてるとしています。

地下水について、TSMCは半導体の製造などで1日あたり8500トンを採取する予定としていますが、かん養によってこの採取量を上回る水を浸透させたいとしています。

10年ほど前からかん養に協力している大津町の農家の吉良登美雄さんは(67)、今月稲刈りを行ったあと、来年3月ごろまで水を張るということです。

吉良さんは「熊本にとって地下水はとても大切なものなので、できる限り協力していきたい」と話していました。