水俣病訴訟 専門家「画期的な判決」

水俣病の被害や歴史などの研究を長年続ける熊本学園大学社会福祉学部の花田昌宣シニア客員教授は、判決について、「救済策の外側に置かれていた山間部に住む人などを水俣病と認めた画期的な判決だったと思う。これが確定すれば、新たな救済策も必要になってくると思う」と述べました。

そのうえで、潜在的な被害者の把握に向けて、熊本県水俣市などに面する不知火海沿岸の健康調査を速やかに国が実施するほか、今ある唯一の救済策となっている患者の認定制度の見直しにも目を向ける必要があると指摘しています。

また、差別や偏見へのおそれでみずから被害を訴えることができなかった患者が救われてこなかった歴史を踏まえ、花田教授は「症状に気づかない人、周囲を気にして声をあげられなかった人など潜在的な被害者はまだ多くいる。判決をきっかけに、原告、研究者、行政、原因企業が協力をして、被害の全容を把握する必要がある」と指摘しました。

さらに、裁判が長期化していることについて「水俣病が公式確認された年に生まれた人でも70歳近くになるほど時間が経過し、亡くなる人も多くなっている。いたずらに裁判を延ばすべきではない」と述べました。