助成金の不適切受給問題 熊本県の内部調査の中止求める

熊本県の旅行支援事業で県の幹部が旅行会社による助成金の不適切受給を見逃すよう指示した疑いがあると指摘された問題で、第三者機関による調査を前に県が現在行っている内部調査を直ちに中止するようこの問題を通報した関係者の弁護士が県に求めました。
弁護士は県には結論ありきの姿勢がうかがえ、第三者機関が県の内部調査の追認に終わる懸念があるとしています。

新型コロナの経済対策として熊本県が行った旅行支援事業をめぐっては、関係者が報道各社宛てに公益通報者保護法に基づく外部通報を行い、旅行会社による助成金の不適切な受給や、県の幹部がこうした行為の見逃しを部下に指示した疑いがあると指摘しています。

県は、第三者機関による調査を検討していますが、その前に自分たちでも精査することが大事だなどとして内部でヒアリングを行うなど調査を進めています。

こうした内部調査について外部通報を行った関係者の代理人弁護士が直ちに中止するよう26日、県に対して文書で求めました。

文書のなかでは、関係者がこの問題を報道機関宛てに外部通報した理由について「県への内部通報では事実がねじ曲げられ隠蔽されることに不安を抱いたため」と説明しています。

その上で、県の対応について「結論ありきの姿勢がうかがえる。このままでは第三者機関が県の内部調査の追認に終わるのではないかという懸念を持っている」として、第三者機関による調査を前に内部調査を行っている県に対して不信感を示しています。

内部調査を担当している県人事課はNHKの取材に対して、「外部通報された内容について第三者機関による調査でより正確に明らかにするため県でも調査を行っている。結論ありきで調査をしている事実はない」と話しています。

熊本県の蒲島知事は26日午後報道陣の取材に応じ、「県庁内部のことを全く県が関与しないで、きちんとした体制、きちんとした調査ができるとは思わない。そういう意味では両方がうまく協調しあって第三者機関で調査もやっていただく」と述べ、調査を行う第三者機関の設置に向けた準備を進めつつ、内部調査は続ける考えを示しました。