山都町の「通潤橋」が国宝に指定 観光などに期待も
近世最大級の石造アーチとされる熊本県山都町の「通潤橋」が、25日、国宝に指定されました。
国宝に指定されたのは山都町の「通潤橋」で、ことし6月の国の文化審議会の答申を受けて、25日、官報に告示されました。
通潤橋は、水源に乏しい周辺の農地を潤すためおよそ170年前に建てられた水路橋で、技術的にも完成度が高いとされています。
通潤橋では、通水管のなかにたまった土砂を取り除くため橋の中央部分から放水が行われていて、観光の売りの1つとなっています。
2016年の熊本地震や2018年の豪雨で橋の一部が崩れるなどの被害を受けましたが、復旧工事を経て3年前には放水を再開し、現在も地域の農業を支えています。
山都町は、通潤橋の国宝指定に伴い、一帯でのドローンなど、無人航空機の飛行や物品販売を規制することなどを盛り込んだ条例を、25日、施行しました。
山都町の梅田穰町長は「通潤橋を将来へ継承するための取り組みをより一層推進し、農業や観光なども含めて、地域の発展につながるよう町づくりを行います」とコメントしています。
山都町の「通潤橋」では、多くの人が写真を撮ったり景色を楽しんだりして、散策していました。
東京から訪れた60代の夫婦は「思ったよりも、迫力がありました。国宝に指定された日に来られて、感無量です」と話していました。
岡山から旅行で訪れた夫婦は「ガイドさんからバスの中で聞いて、大喜びでした。きょう来られて、とても光栄です。わずか2年間でつくられたということで、素晴らしく、芸術のようですね」と話していました。