「SLあそBOY」18年ぶりに運行 家族連れなどでにぎわう

熊本県内のJR豊肥本線を走っていた観光列車、「SLあそBOY」が22日一日限定で18年ぶりに運行され、多くの家族連れなどでにぎわいました。

JR九州の観光列車、「SLあそBOY」は熊本駅と宮地駅の間の豊肥本線を2005年までの17年間、運行していましたが、老朽化で引退しその後は「SL人吉」として復活しています。

「SL人吉」が来年3月で引退するのを前に22日、「SLあそBOY」として一日限定で運行され、熊本駅には18年ぶりの姿を見ようと多くの家族連れや鉄道ファンなどが詰めかけました。

午前10時すぎになると満席となった列車が出発し、ホームでは集まった人たちがスマートフォンなどで写真や動画を撮影したり旗を振ったりしながら見送っていました。

息子3人と乗車した阿蘇市の30代の女性は「豊肥本線を走るSLに手を振っていた話を息子たちにしていたので、復活して乗ることができるのがうれしい」と話していました。

「SLあそBOY」は宮地駅に到着したあと午後2時半ごろ、熊本駅に向けて折り返す予定だということです。

【SLあそBOYの歴史】
「SLあそBOY」は、大正時代から昭和にかけて九州各地で活躍した「八六二〇」型の蒸気機関車を使って、1988年8月にJR豊肥本線の熊本駅と阿蘇市の宮地駅の間で運行が始まりました。

雄大な阿蘇山を望む車窓の景色や、急なこう配を運行する際に進行方向を転換するスイッチバックを楽しむことができることから人気を集めてきましたが、部品の老朽化により2005年8月に引退しました。

JR九州によりますと、引退するまでの17年間で延べ52万人が乗車したということです。

その後、保守整備を終えた蒸気機関車は2009年4月に「SL人吉」としてJR肥薩線の熊本駅と人吉駅の間で運行を再開しました。

しかし、3年前の豪雨災害の影響で鉄橋が流されるなど大きな被害を受けたため運行区間を変更し、現在は熊本駅と佐賀県の鳥栖駅の間を走っています。

ただ、老朽化がさらに進み、メンテナンスを担う整備士の確保も難しいことから、来年3月23日で運行を終えることが決まっていました。