熊本地震の断層のずれを地下で確認 国内で初めて

7年前の熊本地震を引き起こした「布田川断層帯」について、地震の前に掘削調査が行われた熊本県益城町の断層を熊本大学などが再び調べたところ、断層面が50センチほどずれ動いていたことがわかりました。
地震の前後で断層のずれが地下で確認されたのは、国内で初めてだということです。

7年前の熊本地震を引き起こした「布田川断層帯」は、南阿蘇村から宇土半島の北岸までを東西に貫く断層帯で、熊本地震では地表に数十センチのずれが確認されました。

この断層帯の周辺にある益城町福原地区の畑では、阪神・淡路大震災の翌年、地震の発生リスクなどを調べる掘削調査を熊本県が実施していて、熊本大学と東北大学の研究グループは、熊本地震の前後での断層の状況を比較するため、先月下旬から同じ場所で再び掘削調査を進めています。

調査は、深さおよそ2.5メートル、幅およそ5メートルの溝を掘って行われ、過去の調査の形跡が残る断層面が最大で50センチほどずれ動いていたことが確認されたということです。

研究グループによりますと、地震の前後で、同じ場所の断層が動いたことを地下の地層から確認できたのは国内では初めてで、世界でもアメリカ、ニュージーランドに次いで3例目だということです。

調査を行った「熊本大学くまもと水循環・減災研究教育センター」の鳥井真之特任准教授は「地下での活断層の動きを示す貴重な証拠で、活断層の位置を把握することが防災対策の一助となる」と話しています。

【調査の詳細と意義】
今回の調査を実施している熊本大学と東北大学の研究グループによりますと、調査では、阪神・淡路大震災の翌年に行われた調査と比較した結果、地表付近の断層面に50センチほどのずれが確認されたということです。

また、断層面のずれた部分を調べると、過去の調査では確認されていなかった、断層が動いた際に岩盤がこすれてできたとみられる線状の跡が残っていたほか、掘削を進めると、前回の調査で足場を固めるために使われたとみられる2枚の踏み板が、30センチほど横にずれた状態で溝の底に残されていました。

これらを踏まえ、研究グループでは「活断層が動いたことを示す客観的な証拠が得られた」としていて、活断層が引き起こす地震は、数千年単位という非常に長い間隔で起こるため、地震の前後で同じ場所の断層が動いたことを地下で確認できたケースは珍しいということです。

その上で、大地震によって地面の亀裂や隆起などが起きる範囲が予測でき、防災・減災対策につながることが期待されるとしています。