菊池事件で弁護側が証言鑑定を否定する新証拠を提出

ハンセン病の患者とされた男性が隔離された「特別法廷」で死刑判決を受け、執行されたいわゆる「菊池事件」で男性の遺族が求めている再審=裁判のやり直しをめぐり、弁護側は、有罪の根拠の1つとされた親族の証言の信用性を否定する鑑定書を、新たな証拠として裁判所に提出しました。

「菊池事件」は、ハンセン病の患者とされた男性が殺人などの罪に問われ、療養所などで開かれた「特別法廷」で死刑が言い渡されて昭和37年に執行されたもので、おととし4月、男性の遺族が熊本地方裁判所に裁判のやり直しを請求しています。

遺族の弁護団は、男性が事件当日、みずから犯行を認めたという親族6人の証言について、その信用性を否定する鑑定書を新たな証拠として、19日熊本地裁に提出しました。

弁護団によりますと、親族の証言は有罪が認定された根拠の1つとなったということですが、法心理学が専門の大学教授が分析したところ、内容に矛盾やあいまいな点が確認されたということです。

再審を認めるかどうかは裁判所と弁護士、検察による協議を経たうえで決定される見通しです。

弁護団事務局長の馬場啓弁護士は「再審開始に向けて大きな一歩だと感じているが、ハードルはまだ高いと認識している」と話していました。