球磨川治水対策の「流水型ダム」 国が流域市町村に構造案説明

3年前の豪雨で氾濫した球磨川の治水対策として支流の川辺川に整備される「流水型ダム」について、国は流域の市町村などに対して環境への影響を最も小さくする構造を検討していることを説明しました。

6日は球磨川の治水対策についての会議が熊本県の防災センターで開かれ、蒲島知事のほか国や県の担当者や流域の市町村の代表など合わせておよそ40人が集まりました。

会議の中で、国からは支流の川辺川に整備する流水型ダムの構造について、模型での実験を紹介しながら説明がありました。

それによりますと、ダムは環境への影響を最も小さくする構造を検討していて、ふだんはダム本体の3つの門を開放して川の水をそのまま下流に流し、アユなどの魚が移動できる経路を維持します。

一方、大雨が降った際には3つの門を閉鎖して水をためるなど、平常時と大雨のときの水の流れを分ける形状を検討しているということです。

下流には大雨のときにダムから放流された水の力を弱める働きがある「副ダム」を整備し、この副ダムも魚の移動を妨げない形状を検討しているということです。

国は2027年度から流水型ダムの基礎掘削工事を始め、2035年度の事業完了を目指しています。

【国土交通省川辺川ダム砂防事務所長は】
会議の後、国土交通省川辺川ダム砂防事務所の齋藤正徳事務所長は「環境への影響を極限まで配慮して、ダムの構造を設計していく。設計にあたっては、数値計算や解析など繊細な検討を進めていきたいと考えている。川辺川は清流で多くの方が利用しているので、地域の人々の生活に貢献する新しいダムを造っていきたい」と話していました。

また、今後の取り組みについて「流水型ダムが下流に与える影響などについてはまだ検討が始まった段階で、地域に対して影響を説明できていない。今後はまず委員会を開いて有識者の意見を聞き、技術的に詰めたうえで地域の住民に説明することで、理解を得られるよう進めていきたい」と話していました。