水俣病集団訴訟 裁判官らが被害が起きた不知火海沿岸を視察

水俣病の未認定患者への国の救済策で対象とならなかった人たちが、国などに賠償を求めた裁判で、熊本地方裁判所の裁判官らが5日、被害が起きた熊本県の不知火海の沿岸を視察しました。

11年前に締め切られた国の救済策をめぐって、被害者団体「水俣病不知火患者会」の1400人余りが、手足の感覚障害など特有の症状があるにも関わらず、救済策の対象とならなかったとして国と熊本県、それに原因企業のチッソに損害賠償を求める訴えを熊本地方裁判所で起こしています。

裁判がことし9月に結審する見通しとなるなか、原告側の申し立てを受け、被害が起きた熊本県水俣市などに面する不知火海の沿岸を、5日、熊本地裁の裁判官2人が視察しました。

視察は非公開で行われ、原告側の弁護士によりますと、裁判官らは船の上から、汚染が不知火海一帯に広がった経緯や当時の魚介類の入手方法、食生活などについて、原告側から説明を受けたほか、救済策の対象地域から外れた天草市の山間部などをバスで見て回ったということです。

視察に同行した園田昭人弁護団長は「争点となっている対象地域の妥当性について、被害が起きた不知火海には境界線がないことなど、裁判官に理解してもらえたのではないかと思う」と話していました。