熊本いのちの電話 自殺の傾向がある相談が2割増加

心の悩みなどの相談に応じる「熊本いのちの電話」に、ことしに入り8月までに寄せられた相談のうち、自殺の傾向があると懸念される相談の件数は1020件で、去年の同じ時期と比べておよそ2割増加しています。
いのちの電話の事務局は「ひとりで悩まず、まずは相談してほしい」と話しています。

悩みを抱える人の相談を受け、自殺を防ぐ活動を続けている「熊本いのちの電話」にことしに入ってから8月末までに寄せられた相談は5870件で、去年の同じ時期よりも668件、率にして13%増加しています。

このうち、自殺の傾向があると懸念される相談は1020件と去年よりも184件、率にして22%増加しました。

相談者の性別では、男性が53%、女性が47%となっています。

年齢別では50代が最も多く25%、次いで40代が23%で、この2つの年代で半数近くを占めています。

相談の内容別で見ると、去年と同じく人生に関する相談が最も多くなっていますが、経済的な相談が去年よりも35%余り増えています。

事務局によりますと、物価高で以前と同じものが買えなくなり生きるのが苦しいといった相談や新型コロナウイルスに感染して仕事が続けられなくなったなどという相談が寄せられたということです。

全体的にも物価高や長期化するコロナ禍が背景にあるとみられる相談が目立つということです。

「熊本いのちの電話」事務局の池田菖子さんは「相談が深刻化していると感じます。相談者の気持ちに寄り添い耳を傾けるので、ひとりで悩まず、まずは相談してほしい」と話しています。

「熊本いのちの電話」は、電話番号が、096−353−4343で、24時間受け付けています。

【熊本いのちの電話】

1985年に設立された「熊本いのちの電話」は、24時間365日、悩みを抱える人からの電話相談に応じています。

ここ10年間の相談件数を見ると、2017年までは年間1万件を上回っていましたが、それ以降は7000件から9000件台となっています。

一方、ボランティアで対応にあたる相談員の担い手が不足している状況が続いています。

事務局によりますと、相談員が150人いると、24時間2人体制での対応が可能だということですが、2017年からは100人を下回り、ことしは前の年より15人増えたものの113人で、夜間と休日は相談員が1人だけで対応に当たっています。

相談員になるには、およそ2年の研修を受けて認定を受ける必要があります。

次回の募集は来年のはじめから始まることになっていて、電話での問い合わせも随時、受け付けているということです。

電話番号は、096−354ー4343です。

【事務局の池田菖子さん】

「熊本いのちの電話」事務局の池田菖子さん(75)は、1992年から30年にわたって運営に携わってきました。

池田さんは「ことしは経済状況が厳しく自殺傾向が懸念される相談が増えています」と述べた上で、「相談員も葛藤しながら、どうしたら安心してもらえるかことばを選んでいます。苦しくても生きていてくれてありがとうと伝えています。電話で話すことで受け止めてもらえるという安心感を持ち、それを重ねることで道筋が見えることがあると思います。相談内容は守られるのでぜひ、ひとりで悩まず相談してほしい」と話していました。

【県の自殺対策】

熊本県では今年度までの6年間を期間とした自殺対策の推進計画を策定しています。

計画には普及啓発の推進や対策に関わる人材の育成地域や職場、学校での心の健康づくりの推進適切な精神科医療を受けられる仕組みづくりなどが盛り込まれています。

また相談窓口の設置も計画に盛り込まれていて、県は従来の「精神保健福祉センター」などのほか、ことし6月には専門のカウンセラーがLINEを通じて相談に応じる窓口を開設しました。

このほか自殺対策として、アルコールやギャンブルへの依存症の専門医療機関を県内で合わせて7つ、また治療の拠点機関も合わせて2つ設けられていて、県障がい者支援課は「県でも相談窓口を設置しているので、ひとりで悩みを抱え込まずぜひ利用してほしい」と話しています。