収入増で生活保護廃止 熊本地裁が処分を取り消す判決

同居する孫の収入の増加などを理由に生活保護が廃止されたことをめぐり、長洲町の70代の男性が熊本県に処分の取り消しを求めた裁判で、裁判所は男性の訴えを認め、処分の取り消しを命じる判決を言い渡しました。

長洲町に住む70代の男性は8年前に生活保護を申請し、その際、同居する看護の専門学校に通う孫を対象から外し、夫婦で受給が開始されていました。

同居する人が大学などに進学する際、保護の対象から外す「世帯分離」という手続きを取る必要があるためでしたが、孫は通学しながら准看護師としても働き始め、収入が増加したことなどから、県はこの手続きを解除し、孫の収入を夫婦を含む同じ世帯のものだと認定したうえで、夫婦の生活保護を廃止していました。

これについて男性は、処分の取り消しを求める裁判を起こしていました。

3日の判決で、熊本地方裁判所の中辻雄一朗裁判長は「『世帯分離』の趣旨は、生活保護を受けている世帯と同居しながら、専門学校などで能力を身につけて、自立を促進することにある。今回は孫や夫婦の自立に効果的だったのは明らかだが、県は孫の収入が大幅に増加したという表層的な現象に着目していた」と指摘したうえで、「県の判断は裁量の範囲を逸脱し、違法性が認められる」などとして、県に処分の取り消しを命じました。

判決後、原告側は記者会見を開き、弁護団の高木百合香弁護士は「生活保護世帯の子どもの就学希望を最大限に尊重したもので、極めて重要な意味を持つ判決だと考えます」と評価する姿勢を示しました。

また原告の70代の男性は「今後、同じことが繰り返されないように県には取り組んでほしい」と話していました。

判決について、熊本県社会福祉課は「詳細な内容を精査し、厚生労働省とも協議をしたうえで、今後、控訴するかどうかを検討していきたい」とコメントしています。