富士山条例案提出で地元組合が地元の意見聞くこと求める要望書

県が富士山の登山者数を制限することなどを盛り込んだ条例案を県議会に提出したことについて、富士山の土地管理などにあたる地元の組合は4日、「説明もなく県の単独で進められている」として長崎知事に地元の意見を聞くことなどを求める要望書を提出しました。

富士山の土地管理などにあたる「富士吉田市外二ヶ村恩賜県有財産保護組合」の関係者およそ30人は4日、県庁を訪れ、長崎知事に要望書を手渡しました。
県が富士山の登山者数の適正管理に向けて1日あたりの登山者数を制限することなどを盛り込んだ条例案を県議会に提出したことについて、要望書では、「組合に何の説明もなく合意形成がされておらず、県の単独で進められようとしていることに権利の侵害につながるような強い懸念を抱いている」としています。
そのうえで県が事業を行う際は組合に意見を聞くことや、合意が得られないときは事業を行わないことなどを求めています。
要望書の提出後、組合の議会の鈴木富蔵議長は「事前にどういう方向で事業を進めるのか、地元へ説明し理解を求めてほしかった。争う訳ではないので、県と地元にとって良い方向に進めてほしい」と話していました。
県が提出していた条例案は組合の要望のあと開かれた県議会の本会議で可決されました。

富士山の登山規制に関する条例案をめぐり地元の組合から要望書を受け取った長崎知事はそのあとに開かれた臨時の記者会見で「100%私どもの落ち度だ。皆さまのお怒りは全くごもっともで、今後こういうことが2度とないように、特に恩賜林に関する問題には、関係するところにしっかりと事前に説明をしていきたい。これはきっちりやっていくとお約束申し上げた」と述べました。

「富士吉田市外二ヶ村恩賜県有財産保護組合」、通称、恩賜林組合は富士吉田市と山中湖村、それに忍野村の忍草地区で構成される一部事務組合です。
山菜を採って生活するなど昔から恩恵を受けてきた文化を踏まえて地元住民には富士山の土地を利用する権利、「入会権」があるとしていて、この権利を主張するために毎年、陸上自衛隊の北富士演習場内を野焼きする「火入れ」の行事も行われています。
その上で、組合によりますと、県の条例でも組合が土地を保護する責任が定められていて、現在、富士山の山梨県側に広がるおよそ8100ヘクタールの山林などの管理を続けているということです。