日本農業賞 「個別経営の部」の特別賞に 韮崎の畜産農家

農業経営に意欲的に取り組み、優れた功績をあげた農家や団体を表彰する「日本農業賞」の個別経営の部の特別賞に、ストレスの少ない環境で家畜の飼育を実践している韮崎市の畜産農家が選ばれました。

「日本農業賞」はJA全中=全国農業協同組合中央会とNHKが主催しています。
53回目となる今回、「個別経営の部」の特別賞に、養豚と鶏卵の事業を手がけ、家畜をストレスの少ない環境で飼育する「アニマルウェルフェア」に長年取り組んできた韮崎市の「ぶぅふぅうぅ農園」の中嶋千里さん(70)が選ばれました。
中嶋さんは、日本でまだ「アニマルウェルフェア」の考え方が浸透していない昭和50年代から豚の放牧を実践し、現在はおよそ200頭を小高い丘の斜面で飼育しています。
そして、餌の80パーセント以上を、地元で調達したパンくずや酒かすなどを配合して作っているほか、子豚に通常より長く母乳を飲ませることで病気を予防し、出荷まで抗生物質を使わずに飼育しています。
また、ニワトリおよそ500羽をケージではなく地面で飼う、「平飼い」をしており、通常行われるくちばしの切断も行っていないということです。
こうした「アニマルウェルフェア」の実践が、「畜産のあり方に一石を投じる経営だ」として評価されました。
中嶋さんは「放牧を始めたころは変わり者扱いされましたが、ヨーロッパでアニマルウェルフェアが認知されるようになり、国内でも、この農園の取り組みが理解されるようになりました。食べ物は本来、自然な形で生産することが大事です。賞を契機に、アニマルウェルフェアが広がっていってほしいです」と話していました。