財政非常事態宣言の市川三郷町で初めての有識者会合

財政破綻の危機に陥るとして非常事態宣言を出した市川三郷町で行財政改革計画の策定に向けた有識者らの会合が開かれました。
町が年間およそ3億円の歳出削減ができるとする公共施設の統廃合案を示したのに対し、有識者らからは利便性を確保する公共交通網の整備や若い世代を呼び込む政策を求める意見が出されました。

市川三郷町は今のままの財政状況が続けば7年後の2030年には財政破綻の危機に陥るとして、先月「財政非常事態宣言」を出し、これに対応するため、年内にも行財政改革計画を策定し公表することにしています。
計画に専門的な知見を取り入れるため、地元の大学や金融機関の関係者らによる会合が宣言発出後、24日初めて開かれました。
この中で町は歳出を削減するための公共施設の統廃合案を示し、令和7年度までに19の分野で統廃合を実現すれば年間2億9000万円の歳出削減ができると説明しました。
具体的には資料館などは現在ある8つの施設を2つ程度に、グラウンドや体育館などはいまの22施設を10程度にするのが適当だとしています。
また町内にある6つの小学校と4つの中学校は今後、審議会を設け、児童生徒の減少や建物の老朽化も踏まえて適正な数を検討する必要があるとしました。
さらに町が主催するイベントなども必要性などを精査した上で集約・廃止を検討するとしています。
これに対し、有識者らからは利便性を確保するための公共交通網の整備や若い世代を住民に呼び込む政策が必要だといった意見が出されました。
この有識者会合は来月も開かれ、行財政改革計画への最終的な意見をとりまとめることにしています。

会合のあと、行財政改革推進委員会の会長を務める、山梨大学大学院の藤原真史准教授は「令和7年度までに止血をして、反転攻勢につなげていくという方向性は正しいが、丁寧な説明を続け、町民の協力や国や県の支援をどのように引き出していくかも成否を分けることになる」と話していました。
市川三郷町の遠藤浩町長は「今後は議会にも相談し、年内に最終的な計画を出す予定だ。年明けには住民説明会を開き、理解を深めてもらう機会としたい」と話していました。