山梨県県有地賃料めぐる住民訴訟 原告の訴え退ける 東京高裁

県が富士急行に貸している山中湖村にある県有地の賃料が不当に安いとして、適正な金額との差額の支払いを富士急行に求めるよう県を相手取った住民訴訟の控訴審で、東京高等裁判所は1審の判決を支持し、原告の訴えを退けました。

訴状などによりますと原告の南アルプス市の男性は、県が富士急行に貸している山中湖村の県有地の賃料が不当に安いとして、適正な金額とこれまでに富士急行が納めた賃料の差額、364億円余りの支払いを富士急行に請求するよう県に求めました。
1審の甲府地方裁判所が去年3月、原告の訴えを退ける判決を言い渡したことを受けて原告が控訴し、去年7月から東京高等裁判所で審理されていました。
25日の判決で東京高等裁判所の松井英隆裁判長は、原告の訴えの一部は住民訴訟を起こすために必要な手続きがされていないことや県が別の裁判で富士急行に対して損害賠償を請求したことなどを理由に原告の訴えを退けた1審の判決を支持し、控訴を棄却しました。

原告側の代理人を務める武藤行輝弁護士は「都合よく住民側の判断を敗訴させるために論理を駆使して門前払いをした判決だと思う。住民が動きを起こしたことで問題提起ができたことはよかった。上告については、内容をしっかり考えて検討していきたい」と話していました。

富士急行の代理人を務める関理秀弁護士は「訴えの利益がないとずっと主張してきたのでわれわれの主張が認められ、まずは、ほっとしている。山中湖畔の地域の価値向上に向けて努力するという富士急行の方針があるのでこうした判決が出てよかったと思う」と話していました。

25日の判決について長崎知事は「県と富士急行の間で争われている訴訟に対する判断が下されたわけではない。県としてはことし8月に予定されている裁判の判決を待つこととしたい」とコメントしています。