触って楽しむミレーの「種をまく人」 鑑賞方法を学ぶ研修会

フランスの画家、ミレーの世界的名画を手で触って鑑賞してもらおうと、県内の大学が美術館と共同研究で立体的に表現した作品が県立美術館に寄贈され、30日、鑑賞方法を学ぶための研修会が開かれました。

県立美術館に寄贈されたのは、19世紀のフランスの画家、ジャン=フランソワ・ミレーが1850年に発表した「種をまく人」を立体的に表現した作品です。
山梨大学と山梨県立大学、それに県立美術館とイタリアのアンテロス美術館の共同研究で作成されました。
30日は県立美術館で展示作品のガイドなどにあたるボランティアや美術館職員などが集まり、研究にあたった大学の准教授たちから鑑賞方法を学びました。
この作品は、大きさが縦50センチ、横40センチで、石こう入りの樹脂を使って種をまく農夫の輪郭の裏側まで彫り込むなどして、遠近法を用いながら絵画に描かれた空間を立体的に表現しています。
参加者たちは、准教授に手を添えられながら目を閉じて作品をさわって、農夫が立つ坂の傾きや大きくせり出した右腕の躍動感などを手で感じ、実際の展示でガイドを行う際のポイントを確認していました。
山梨大学教育学部の武末裕子准教授は「視覚に障害のある方のほか、小さな子どもや高齢者に関心をもってもらうきっかけになると思うので、絵画への入り口として活用してほしい」と話していました。
寄贈された作品の展示は、今年度末に始まる予定です。