高知県「特定利用空港・港湾」の受け入れへ

有事に備えて自衛隊や海上保安庁が利用できるよう、国が空港や港の整備を進める「特定利用空港・港湾」について、高知県は県内で候補となっている3つの港がある高知市、須崎市、宿毛市と19日、会合を開きました。
会合では、県が受け入れる意向を示したのに対し3つの市も同調したことから、近く最終的な受け入れの判断を行う見通しです。

「特定利用空港・港湾」は有事に備えて国が空港や港を指定し、平時から自衛隊や海上保安庁の船や航空機が円滑に利用できるようにするもので、指定されれば空港や港が整備や拡充されます。

県内では高知港、須崎港、宿毛湾港が候補に挙がっていて、対応を検討してきた県は、関係する高知市、須崎市、宿毛市と19日に高知市で会合を開き、指定について議論しました。

会合では、県の担当者が国とのやりとりを説明した上で、高知市の浦戸湾の三重防護の整備などが加速すると期待されることや、自衛隊などが港を熟知すれば大規模災害への対応にメリットがあることなどから、県として受け入れる意向を示しました。

これに対し3市は、「市民の中には不安の声もあり、引き続き丁寧な説明が求められる」といった意見を出した上で、受け入れについて県の意向に同調する考えを示しました。

県は知事に諮った上で、近く最終的な受け入れの判断を行う見通しです。

【3市の反応】
意見交換会を終えて、高知市の弘※セ優副市長は「平時から自衛隊に
高知港を熟知してもらうことで、災害時に円滑な救助活動ができるようになるのではないか。国や県は市民に向けて丁寧な説明を心がけると聞いているので、期待したい」と話してしていました。
※セは「瀬」の「頁」が「刀に貝」

須崎市の平井和久副市長は「現状よりも危険度が高まることはないと考えており、防災面のメリットがある。不安に感じる人がいることは県も認識しているはずなので、国や県にはしっかりと説明してもらいたい」と話していました。

宿毛市の上村秀生副市長は「宿毛市の地域にとっても、国民保護や災害時の支援の観点から非常にメリットがあると考えている。不安に思っている人に対しては、県がQ&Aなどを公開して説明していくと聞いている」と話していました。
   
【反対する声も】
「特定利用空港・港湾」の受け入れに反対する声も上がっています。
市民団体のメンバーおよそ20人が19日午前に県庁を訪れ、受け入れ反対の署名あわせて4260筆を県の担当者に提出しました。

メンバーの清谷千夏さんは「生活に密着した重要な港なのにも関わらず、多くの人がどうなるのかわからず不安に思っています。県民の生活にどのような影響があるのか説明を尽くしてほしい」と話していました。
    
【県の担当者「不安の払拭に努める」】
県土木部の村上学港湾振興監は「県民の不安の声に対しては、県が作成したQ&Aを公開するなどして払拭(ふっしょく)に努めていきたい。きょうの意見を踏まえ、詰めの協議をして受け入れるかどうかの判断をしたい」と話していました。