予土線全線開通50周年 沿線の愛媛の松丸駅で記念イベント

高知県と愛媛県を結ぶ予土線が全線開通してことしで50周年を迎え、沿線の愛媛県松野町の駅で地元の人たちが参加して記念のイベントが開かれました。

予土線は、愛媛県宇和島市と高知県四万十町を結ぶローカル線で、50年前の昭和49年3月1日、全線が開通しました。

利用者の減少による赤字が続き、どう路線を維持・存続させるかが課題となる中、沿線の愛媛県松野町の松丸駅で50周年を祝おうと地元の人たちが参加して記念のイベントが開かれました。

この中で、利用促進に向けた協議会の会長で松野町の坂本浩町長が、「今後ますます沿線の魅力を発信していくのでこれからの50年も予土線を応援してほしい」とあいさつしました。

また、地元の高校生によるスピーチも行われ、「予土線で通学する時間は僕たちの青春の1ページに欠かせない大切なものです」などと路線の存続に向けて熱弁を振るいました。

集まった人たちは駅前の広場で披露された和太鼓の演奏やよさこいの演舞に見入ったり、特別運行された記念列車を手を振って見送ったりして、思い思いに楽しんでいました。

松野町の40代の女性は、「イベントはにぎやかで楽しかったです。めいも通学に使っていますし、いつまでも予土線は存続してほしいです」と話していました。

【予土線利用促進対策協議会の高知県部会の事務局を務める林進之助さんは】
沿線の自治体などで作る予土線利用促進対策協議会の高知県部会の事務局を務める林進之助さんは「50年を迎えられたことは素直にうれしいが、路線が廃線になることはあってはならないので、きょうのように記念列車を走らせたり、イベントを開いたりして、路線を存続させていくために引き続き頑張っていきたい」と話していました。

【四万十市の沿線住民は】
月に1回、宇和島市までの買い物に予土線を利用している四万十市西土佐の60代の男性は「開業してから利用しているが、最近はほとんど貸し切り状態でさびしい。路線を残してもらいたい一方、沿線住民である自分たちもあまり利用していないという矛盾があり、いずれなくなっていくのかなと現実的には思う」と話していました。

また、妻の60代の女性は「以前は道路事情がよくなかったので頻繁に予土線に乗っていたが、最近は車の機会が増えてほとんど乗らなくなった。たくさんの人に乗ってもらって予土線が残ってほしいので、頑張ってみんなで応援したい」と話していました。

【観光列車の乗客は】
JR予土線の50周年にあわせて、ふだんは愛媛県の伊予灘沿いを走る観光列車が、2日、愛媛県の宇和島駅と高知県四万十市の江川崎駅の間で特別運行されました。

列車は正午ごろ、江川崎駅に到着しました。

この列車に乗った山口県の30代の男性は「予土線を記念列車が走るのは珍しいし、沿線の地域を盛り上げる必要があると思って乗りに来た。採算がとれないのであれば運賃を数倍にしてもよいので、車窓を『売り』にした観光に特化した路線として存続させる方法もあると思う」と話していました。