DMV1日限定 奈半利まで延伸の特別運行 四国循環路線実現

徳島県南部と高知県東部をつないで線路と道路の両方を走るDMV=デュアル・モード・ビークルが、30日、高知県奈半利町まで延伸する特別運行を行い、1日限定で四国を循環する路線が実現しました。

第3セクターの阿佐海岸鉄道は線路と道路の両方を走るDMVを徳島県海陽町と高知県の東洋町や室戸市の間の区間で運行させています。

DMVを広く知ってもらって交流人口の拡大につなげようと、国の認可を得て、30日、1日限定で、奈半利町の「土佐くろしお鉄道」の奈半利駅まで延伸する特別運行が行われました。

車両が出発する海陽町の阿波海南文化村の駅には抽せんで選ばれた乗客などおよそ50人が集まり、海陽町長の号令のあと地元の園児らに見送られて出発しました。

バスモードになったDMVはふだんは終着地点となっている室戸市の海の駅「とろむ」を午前11時20分に出発し、30キロほど離れた奈半利駅に午後0時ごろに到着すると、駅に集まった多くの人たちに手を振って迎えられました。

この路線は、101年前の大正11年に高知県から徳島県の海岸沿いにかけて結ぶ「四国循環鉄道」の一部として計画されていましたが、旧国鉄の民営化などによって実現には至っておらず、今回の特別運行で1日限定で四国を循環する路線が実現しました。

【DMVとは】
阿佐海岸鉄道はおととしから営業運行を開始し、
▼平日は徳島県南部の海陽町と高知県東部の東洋町を結ぶほか、
▼土日・祝日は室戸市まで運行していて路線の長さはおよそ50キロにのぼります。

奈半利町の奈半利駅まで結ぶことで路線の長さはおよそ80キロとなります。

【乗客は】
特別運行のDMVに乗った高知市の男性は「将来的には、通常運行できるようになればいいですが、今日こうしてつながったのはとても意義があると思う。また乗りたいです」と話していました。

また、高知市の小学3年生の男の子は「たまたま来るときに座った場所がタイヤの上だったので、モードチェンジの振動を感じられてすごく楽しかったです」と話し、男の子の母親も「奈半利までDMVが来てもらうことで、私たち高知の人も徳島に行きやすくなるし、不定期でも運行してもらったらありがたい」と話していました。

【沿線自治体は】
奈半利町まで結ぶ特別運行について、沿線の自治体から歓迎の声があがっていて、DMVを生かした観光活性化策につなげようという機運も高まりつつあります。

土日・祝日の終着点となっている室戸市の植田壮一郎市長は「これを1回きりにするのはもったいないという地域の声は必ずあがると思う」と歓迎しました。

その上で、「四国の南東エリアは、観光客をたくさん迎えることができる、ポテンシャルが高い場所だ。魅力の情報は発信力を高めて取り組んでいけば、効果が発揮できると思っている」と話し、観光活性化につなげたい考えです。

【課題は】
ただ、今回、特別運行が行われたものの、定期運行には運転手の確保や運行ダイヤの調整などの課題があります。

今後の見通しについてDMVを運行する阿佐海岸鉄道の大谷尚義専務は「今後の具体的な予定は今のところないが、心の中では奈半利駅まで伸ばしたいという気持ちはある。実現できるようにまい進していくので、地域や自治体の力を借りながらつなげていきたい」と話していました。