室戸市庁舎の住民投票「耐震補強」7割 市は建て替え含め判断

老朽化した高知県室戸市の庁舎をめぐり、「移転建て替え」か、現庁舎の「耐震補強」かを問う住民投票が19日行われ、「耐震補強」が過半数を占めました。
ただ、投票率は条例で結果を尊重しなければならないとする50%に届かず、植田壮一郎市長は「移転建て替え」も含めて判断していく考えを示しました。

庁舎をめぐる室戸市の住民投票は19日投票が行われ、「移転建て替え」に賛成が1506票、現庁舎の「耐震補強」に賛成が3478票となり、「耐震補強」に賛成する票が有効票の69.8%を占めました。

老朽化した室戸市役所の庁舎は、震度6強から7規模の地震で倒壊するリスクがあるほか、南海トラフ巨大地震で津波で浸水することが予想されています。

「耐震補強」案は、この現庁舎を耐震補強などしたうえで、防災機能を津波の浸水区域外に移転するもので、防災拠点の新設も含めた市の実質的な負担額は、「移転建て替え」よりも9億円ほど少ないおよそ22億9000万円となる想定です。

ただ、住民投票条例では、投票率が50%以上の場合、いずれの結果であっても市議会と市長は結果を尊重しなければならないと定められていましたが、投票率は46.43%にとどまりました。

結果を受けて、室戸市の植田市長は「結果は真摯に受け止めながら、どういった形を提案していくかはじっくり検討していきたい」と述べ、「移転建て替え」も含めて判断していく考えを示しました。

【今後の動きは】
植田市長は早ければ6月の定例市議会に「耐震補強」か「移転建て替え」かを提案する方針です。

「耐震補強」の場合は市議会の出席議員の過半数、「移転建て替え」の場合は出席議員の3分の2以上の同意が必要になります。

室戸市では4月に市議会議員選挙が予定されていて、この庁舎の整備も選挙の争点となる見通しです。

【結果について市民の受け止めは】
現庁舎の「耐震補強」が過半数を占めたことについて、一夜明けた室戸市で市民に話を聞きました。

30代の男性は「妥当な投票結果だと思います。人口も減って市の税収も減少する中、庁舎の移転建て替えに高額な予算をかける必要があるのかという思いはあります」と話していました。

80代の女性は「地震があった時に今の庁舎では不安はありますが物価もあがって市民の生活は大変になっています。よりコンパクトな規模での移転を提案すべきではないかと思います」と話していました。

40代の男性は「今の庁舎でもまだまだ十分使えると思っています。投票率は50%を下回りましたが、市長や市議会にはこの結果を民意として尊重してほしいです」と話していました。