震災のアスベスト被害「今後増える」が40% 県内の医師など

阪神・淡路大震災の発生から30年となるのを前に兵庫県内の医師などを対象に行ったアンケートで、今後、アスベストによる被害者が増えると答えた人が40%にのぼることが分かりました。
調査した団体は、震災直後の解体作業などでアスベストを吸い込んだ人が今後、発症するおそれがあり、対策が必要だと訴えています。

このアンケートは、開業医などで作る兵庫県保険医協会が、去年11月からことし1月にかけて、県内の医師や歯科医師、それに薬剤師を対象に行い、300人余りから回答がありました。
その結果、来年で発生から30年となる阪神・淡路大震災に伴うアスベストの被害について、「今後、被害者が増加する」と答えた人が全体の40%を占めました。
このうち、呼吸器を専門に診療する医師だけでみると、被害者が増えると答えたのは57%にのぼりました。
一方で、震災に伴うアスベスト被害が出ていることを「知らない」と答えた人が半数余りの52%を占め、年齢が若い人ほど知らない傾向がみられました。
自由意見では、「アスベストを吸い込んでから中皮腫を発症するまでおよそ40年かかるといわれ、今後10年ほどで患者が急増するおそれがある。早期発見のための対策が必要だ」とか、「震災30年を機会に積極的な検診体制を作る必要がある」といった声が寄せられました。
県保険医協会の森岡芳雄 副理事長は、「震災直後に建物の解体やがれきの撤去にあたった人が今後、発症するおそれがあり、より積極的に情報提供するなどの対策が必要だ」と指摘しています。