誤認逮捕のコンビニ従業員 国と県など相手に提訴 神戸地裁

去年12月、尼崎市のコンビニエンスストアで現金を盗んだとして誤って逮捕された当時のパート従業員が、誤認逮捕によって不眠の症状などに悩み損害を受けたとして、国と県などにあわせて330万円の賠償を求める訴えを起こしました。

訴えを起こしたのは尼崎市に住む60代の女性です。
女性は、去年12月、勤務していた尼崎市内のコンビニで現金数十万円を盗んだとして窃盗の疑いで逮捕されました。
警察は店内の防犯カメラの映像などをもとに逮捕しましたが、その後、被害を訴えていた店側が本部へ送る売り上げを誤って多く送金していたことがわかり、実際には被害がなかったことが確認されたということです。
このため、警察は逮捕からおよそ14時間後に女性を釈放し、謝罪しました。
訴状によりますと女性は「当初から一貫して否認していたが、警察が十分な捜査を怠り誤認逮捕につながった。その後も不眠などの症状に悩み日常生活などに支障が出ている」などと主張し、国と県、それにコンビニの運営会社にあわせて330万円の賠償を求める訴えを神戸地方裁判所に起こしました。
提訴後に開かれた会見で女性は「狭い部屋でずっと取り調べられ、どれほど精神的な苦しみを感じたか考えてほしいです。二度と同じような思いをする人が出ないよう、誤認逮捕に至った経緯を裁判で明らかにしたい」と話していました。
訴えを起こされたことについて兵庫県警察本部の正木博文監察官室長は「訴状の内容を検討し、関係機関と協議の上、適切に対応したい」とコメントしています。
【県警は再発防止策を周知】
去年12月、兵庫県警察本部は誤認逮捕したことを受けて再発防止策を取りまとめました。
県警によりますと、今回の問題では被害を届けた店側の説明に引きずられて捜査を進め、逮捕の根拠とされた防犯カメラの映像の分析や、被害金の確認が不十分だったということです。
このため、再発防止策として証拠を十分に精査することや、逮捕の必要性については捜査指揮する幹部を含めた多角的な視点で検討すること、それに、否認している容疑者についてはより丁寧に事情を聴くことを改めて徹底するよう内部に周知しました。