兵庫県議会 知事“文書問題”で百条委設置 51年ぶり

兵庫県の元局長が作成した、斎藤知事にパワハラの疑いがあるなどとする文書をめぐり、県議会は13日、地方自治法に基づく強い調査権を持つ百条委員会の設置を決めました。
兵庫県議会に百条委員会が設置されるのは51年ぶりです。

兵庫県の元 西播磨県民局長が作成した斎藤知事にパワハラの疑いがあるなどとする文書をめぐり、13日に開かれた県議会の本会議で自民党とひょうご県民連合は地方自治法に基づく強い調査権を持つ百条委員会の設置を求める動議を共同で提出しました。
採決に先立って行われた討論で、ひょうご県民連合の迎山志保議員は「知事当局が設置する第三者機関と議会の権能である百条委員会は全く別物で同列に扱うべきではない。百条委員会を設置することは県民に対する議会の責務を果たすことにほかならず、議員がこれを拒むのは県民の知る権利を奪うことであり、議会の存在意義を否定することだ」と述べました。
一方、維新の会の岸口実議員は「県議会の総意で設置を求めた第三者機関による調査において県民の疑念を払拭しなければならない。百条委員会は、第三者機関による調査で解明できない場合や、調査が不十分で県民の理解や納得が得られない場合に設置を検討するべきで、政争の具にしてはいけない」と述べました。
このあと記名投票による採決が行われ、賛成多数で可決されました。
議会事務局によりますと、百条委員会が設置されるのは51年ぶりだということです。
百条委員会は県議会の各会派から選ばれた15人の委員で構成し、元局長が文書の中で指摘した知事に違法行為やパワハラの疑いがあるなどとする7つの項目について、斎藤知事や関係する職員などを証人として呼んで調査する見通しです。

【百条委設置決定に斎藤知事は】
百条委員会の設置が決まったことを受けて、斎藤知事は記者団に対し「百条委員会が設置されたことは大変重いと思っている。“文書問題”などに関して、しっかりと説明責任を果たし、いろんな課題や改善すべき点が出てくると思うので、そこを真摯に受け止めて、改善すべきところを改善していくことで県政を前に進めていくのが私の大きな責任だ」と述べました。
その上で「職員に負担をかけることは大変申し訳ないと思う。“文書問題”をしっかりと説明して、県政をより前に進めていくために、ご協力とご理解をいただきたい」と述べました。

【元局長がコメント】
百条委員会の設置が決まったことを受けて、文書を作成した元 西播磨県民局長は「これまでさまざまな形でご尽力いただいた皆様に心から感謝申し上げます。兵庫県という組織がより良くなるため、真実が明らかになっていくことを願っています」というコメントを出しました。

【反対票投じた自民党の議員は】
採決で反対票を投じた自民党の石川憲幸 議員は「県議会の総意として第三者機関の設置を申し入れ、知事から『わかりました』という答えがあったのに、その調査の結果を待たずに百条委員会を作ることは絶対に賛同できない」と述べました。
そのうえで採決にあたって自民党の党議拘束がかけられていたことについて「党として決めたことを守らなかったわけだから、いかなる処分でも受ける覚悟だ」と述べました。

【“文書問題”の経緯】
問題の発端はことし3月。
西播磨県民局長だった60歳の職員が「知事の違法行為等について」と題した、知事にパワハラの疑いがあるなどとする文書を作成し報道機関や県議会の関係者などに送りました。
県は局長を解任して、予定していた退職をいったん保留し班長級とする人事を発表しました。
文書について、斎藤知事は当時会見で「事実無根の内容が多々含まれている」とか「うそ八百含めて、文書を作って流す行為は公務員としては失格」などと述べていました。
この会見に対して元局長は「何の根拠もなく事実無根と公言した」などとする文書を発表。
その後県は「文書の核心的な部分が事実でない」などとして停職3か月の懲戒処分にしましたが、県議会は「県民などから独立した第三者による調査の必要性を指摘する意見が寄せられている」として第三者機関の設置した再調査を行うよう要請。
これを受けて斎藤知事は設置する考えを示し、事務手続きなどを県の代表監査委員に委任していました。
こうした中、今月4日に6月定例議会が開会。
“文書問題”をめぐって複数の会派から質問が相次ぎ、斎藤知事が先の記者会見で「うそ八百」などと発言したことについて「表現が行き過ぎた」と陳謝する一幕もありました。
こうした中、自民党とひょうご県民連合は地方自治法に基づく強い調査権を持つ百条委員会の設置を求める動議を共同で提出し賛成多数で可決されました。