警察事件で「司法取引」 初適用か

兵庫県警が税理士法人の職員などを逮捕した詐欺事件で、捜査協力の見返りに刑事処分を軽くする「司法取引」が適用されたことが捜査関係者への取材でわかりました。
警察が捜査した事件で司法取引の適用が明らかになったのは初めてとみられます。

「司法取引」は容疑者や被告が共犯者などの犯罪について捜査に協力すれば、見返りに検察が刑事処分を軽くしたり求刑を軽くしたりする制度で、2018年に導入されました。
この司法取引が、去年(2023年)11月に兵庫県警が自動車販売会社の元社長や税理士法人の職員などを詐欺の疑いで逮捕した事件で適用されたことが捜査関係者への取材でわかりました。
司法取引は税理士法人の職員との間で成立したということで、ことし(2024年)2月、検察はこの職員について詐欺のほう助に切り替えたうえで起訴猶予にしていました。
事件では会社の決算報告書を粉飾して銀行から融資金およそ4000万円をだましとったとされていて、その後、税理士なども逮捕されました。
税理士法人の職員の供述などが事件の立証に生かされたものとみられます。
司法取引の適用はこれまで東京地検特捜部が捜査した事件では明らかになっていますが、警察が捜査した事件では初めてとみられます。
司法取引をめぐっては大規模な企業事件や巧妙化する組織犯罪などを解明する新たな捜査手法として期待される一方、うその供述で無関係の人が事件に巻き込まれる危険性も指摘されていて、今後、警察の事件で制度の運用がどのように広がるのか注目されます。