国内最高齢 神戸 王子動物園のパンダ「タンタン」死ぬ

神戸市の王子動物園で20年以上親しまれてきたメスのジャイアントパンダ、「タンタン」が3月31日夜に死にました。
人間では100歳ぐらいに相当する、国内で飼育されている最高齢の28歳でした。

「タンタン」は、1995年、中国・四川省にあるパンダの繁殖センターで生まれ、4歳となった2000年に阪神・淡路大震災からの復興などを願って、つがいとなるオスのジャイアントパンダとともに、中国から神戸市灘区にある市立王子動物園に貸し出されました。
元気にささを食べたり寝転んだりする愛くるしい姿が人気を集めました。
貸し出しの期間が2度延長され、2020年7月を期限に中国に返還される予定となりましたが、新型コロナウイルスの影響で返還先への直行便の欠航が続いたため動物園にとどまりました。
2021年には心臓の病気が見つかり、最近は一般公開を取りやめて投薬の治療を受けていましたが、去年10月以降は食欲や運動量が少なくなり、身体機能が低下していたということです。
3月13日からはほとんど寝ている状態となり、飼育員が監視カメラなどで24時間態勢で様子を見守っていましたが、31日夜、呼吸が弱くうつ伏せになっているのを見つけ、蘇生処置を行いましたが、およそ2時間後に死んだということです。
加古裕二郎園長は「震災のあと間もない時期にやってきて、神戸市民に勇気をくれて復興を見届けてくれました。見た人、会った人を笑顔にしてくれる太陽のような存在でした。私も感謝のひと言です。ありがとうございました」と話していました。
動物園では4月2日から園内に献花台を設けるほか、お別れの会を検討するということです。

【来園者「ゆっくり休んで」】
ジャイアントパンダの「タンタン」が死んだことについて、王子動物園を訪れていた神戸市の60代の女性は「ことばが出ないです。タンタンが体調を崩してからずっと見守っていました。頑張っていたのを知っているので、ゆっくり休んでほしいです」と話していました。
大阪市から来た60代の男性は「元気な時から知っているので、すごく寂しいです。新しいパンダが来るかどうか分からないけれども、タンタンはタンタンしかいないので残念です」と話していました。
東京から来た60代の女性は「一般公開が中止されたときもそこにいると思うとうれしくて、桜を見にきたり自分の誕生日に来たりしました。いつも励まされてきたのでありがとうと伝えたいです」と話していました。

【「タンタン」の来歴】
神戸市灘区にある市立王子動物園のメスのジャイアントパンダ「タンタン」は、1995年9月16日に中国・四川省で生まれました。
その年に起きた阪神・淡路大震災からの復興を後押ししようと、「タンタン」は4歳になった2000年7月、3歳のオスの初代「コウコウ」とともに中国から王子動物園にやってきました。
元気にささを食べたり、寝転んでくつろいだりする愛くるしい姿は、たちまち人気を集めました。
もう1つの目的である繁殖・研究のため、「タンタン」は、2年後に来日した2代目の「コウコウ」との間で人工授精による出産も試みてきました。
しかし、2007年には死産し、そのよくとしには赤ちゃんが生まれましたが、3日後に死にました。
当初10年だった貸与期間は2度延長されましたが、2020年7月15日を期限に中国に返還される予定となりました。
ところが、新型コロナウイルスの影響で返還先の四川省とを結ぶ直行便の欠航が続いたことから動物園にとどまりました。
2021年3月には検査で心臓の病気が見つかり、投薬治療を受けて体調は一時改善しましたが、一般公開を取りやめて治療が続けられてきました。
去年(2023年)10月以降は食欲や運動量が減り、体内に水分がたまりやすくなるなど身体機能が低下したことから、日中双方の専門家が「長時間の移動に耐えられない」という意見で一致し、返還期限はことし(2024年)の年末まで延長されていました。