「神戸ワイン」の事業 神戸の大手酒造会社が継承へ

地元産のぶどうを使った「神戸ワイン」について、製造と販売を行う神戸市の外郭団体は、事業を市内の大手酒造会社に引き継ぐことになりました。

これは、市の外郭団体「神戸農政公社」などが15日、記者会見して明らかにしたものです。
会見によりますと、神戸農政公社では、40年余りにわたって地元産のブドウだけを使った「神戸ワイン」の製造・販売を続けてきましたが、醸造設備が老朽化している上、消費者のニーズの多様化に応える必要があることから、3年ほど前から民間の力を借りる検討を進めてきたということです。
こうした中、神戸市に本社がある大手酒造会社「白鶴酒造」が事業の継承に前向きな姿勢を示したことから、先月(2月)、両者で基本合意書を締結しました。
両者はことし(2024年)秋に正式に契約を交わし、12月に事業を引き継ぐ計画で、来年以降は製造・販売とも酒造会社が行う見通しです。
一方、農家からのブドウの買い取りはこれまで通り神戸農政公社が行うということです。
神戸農政公社の福島国武常務は「農政公社単独では神戸ワインの取り組みに限界を感じていたので、正式に契約できれば大変ありがたい。神戸ワインをさらなる高みに押し上げてもらえると期待している」と話していました。
また、白鶴酒造の森伸夫マーケティング本部長は「事業を引き継いだ場合は、日本酒、100%神戸産のブドウを使ったワイン、それに地元の農産物を組み合わせて『神戸』を世界にアピールすることも考えたい」と話していました。

【「神戸農政公社」とは】
「神戸農政公社」は農漁業の振興や里山・農村地域の活性化に向けた事業を実施することを目的として設立されている神戸市の外郭団体で、「神戸市園芸振興基金協会」という名称で1979年に発足しました。
現在は「神戸ワイン」の製造・販売をはじめ、灘区の「六甲山牧場」や北区の「道の駅神戸フルーツ・フラワーパーク大沢」、それに西区の農業公園「神戸ワイナリー」の管理・運営を手がけるなどしています。
神戸ワイナリーや契約農家の畑あわせておよそ40ヘクタールで栽培されたブドウを使った「神戸ワイン」は、1983年の醸造開始から40年余りの歴史があり、これまでにワインの国際コンクールで金賞を受賞するなどしています。

【「白鶴酒造」とは】
「白鶴酒造」は、神戸市東灘区に本社がある大手酒造メーカーです。
1743年の創業から280年余りの歴史があり、日本酒を世界に広めようと1900年にパリで開かれた万国博覧会にも出品しています。
現在は50を超える国に日本酒を輸出しています。
日本酒のほかにも焼酎やみりんなどの製造・販売を手がけているほか、1977年から半世紀近くにわたって輸入ワインの販売も行っています。