アスベスト被害 給付金の受給対象めぐる訴訟で和解 神戸地裁

建設現場などでアスベストを吸い込んで中皮腫で死亡した兵庫県の男性の義理の姉などが、国の給付金の受給対象者を一部の親族に限るのは不当だとして、国に損害賠償を求めた裁判で、国が1400万円余りを支払うことで和解が成立しました。

原告側によりますと、電気設備の工事を請け負っていた兵庫県の男性は、建設現場でアスベストを吸い込んで中皮腫を発症し、2020年に78歳で亡くなりました。
国はアスベストによる健康被害を受けた労働者などに対して給付金を支給する救済制度を設けていて、おととし男性の兄が申請していましたが、受給する前に亡くなったため手続きは無効となっていました。
現在の制度では請求できるのは被害者本人や配偶者のほか、子どもやきょうだいなど一部の親族に限られていて、去年9月、男性の義理の姉、それにめいやおいの合わせて3人は、給付金の受給対象者を本人や一部の親族に限るのは不当だと主張し、国に損害賠償を求める訴えを起こしていました。
原告の弁護士によりますと、この裁判について、11日、国が原告の3人に合わせて1430万円を支払うことで和解が成立したということです。
原告で、男性のめいは「提訴していなければこのまま泣き寝入りするところだったので、声を上げて本当によかったです」とコメントしています。
一方、厚生労働省は「早期解決に向けて、今後も継続中の訴訟で和解を進めていく」とコメントしています。