宝塚歌劇団員死亡 劇団側“事実関係を再検討”と遺族側に説明

宝塚歌劇団に所属する25歳の劇団員が死亡した問題で、遺族側の代理人弁護士は、19日、歌劇団側と2回目の面談を行い、歌劇団側から調査報告書の内容にかかわらず、事実関係を再検討するという趣旨の説明を受けたことを明らかにしました。

宝塚歌劇団の宙組に所属していた25歳の劇団員は、ことし9月、兵庫県宝塚市で死亡しているのが見つかりました。
歌劇団は先月(11月)、長時間の活動などで強い心理的負荷がかかっていた可能性は否定できないとする一方、いじめやパワハラは確認できなかったとする調査報告書の内容を公表しました。
これに対し遺族側の代理人弁護士は、上級生からのパワハラの証拠だとする劇団員と家族とのLINEのやり取りなどを公表するとともに、調査報告書の問題点を指摘した意見書を歌劇団側に提出し、謝罪と補償を行うようあらためて求めています。
こうした中、遺族側の代理人弁護士は20日、「経過報告」とするコメントを発表し、歌劇団側の代理人と19日、2回目の面談を行ったことを明らかにしました。
それによりますと、面談の中で歌劇団側は、調査報告書の内容にかかわらず、遺族側が提出した意見書の内容を踏まえて、事実関係を再検討するという趣旨の説明をしたということです。
一方、遺族側は遺族の主張や心情を理解した上で正しい解決に向けて努力するよう、重ねて要請したとしています。
また、遺族側の代理人弁護士はコメントの中で歌劇団が18日、調査報告書のホームページへの掲載を取りやめたことについても触れ、遺族の心情を著しく害するなどの理由から削除を要請していたことを明らかにしました。
次の面談は、遅くとも来年の1月半ばごろに行われる見通しだということです。

【宝塚歌劇団のコメント】
宝塚歌劇団は「11月10日に受領した調査報告書の内容のみにとどまることなく、ご遺族代理人からの意見書や、12月7日に行われたご遺族代理人の会見の内容なども踏まえ、事実関係の精査などを行ったうえでの現時点の見解をお伝えし、一定の理解をいただくことができたと考えております。引き続き、ご遺族のお気持ちやお考えを真摯に受け止め、誠実に協議してまいりたいと考えております」とコメントしています。

【来年の110周年記念行事 すべて中止】
宝塚歌劇団は、過密な公演スケジュールを緩和するため、来年(2024年)に予定されていた110周年を祝うすべての記念イベントの実施を、取りやめると発表しました。
中止が決まったのは▼来年4月に予定していた「宝塚歌劇110周年記念式典」▼6月に予定していた「タカラヅカスペシャル2024」▼10月に予定していた「宝塚歌劇110周年記念大運動会」です。
また、亡くなった劇団員が所属していた「宙組」については「現時点で安全に公演ができる体制が整わない」として、来年2月から3月にかけて福岡市などで予定していた3つの公演についても、すべての日程で取りやめることを明らかにしました。
来年4月から行われる花組の東京宝塚劇場での公演については、回数を減らして実施することにしています。
宝塚歌劇団は「2024年の公演、宝塚歌劇110周年記念行事にご期待いただいておりましたお客様には、大変申し訳なく、あらためておわび申し上げます」とコメントしています。