燃料ポンプ不具合でリコール 兵庫の遺族がメーカー対応に不満

自動車部品メーカーのデンソーが製造した燃料ポンプに不具合があり、リコールが相次いでいる問題で、この燃料ポンプが原因でことし7月、鳥取市内でエンジンが止まった車に後続車が追突した事故で父親を亡くした兵庫県の50代の男性がNHKの取材に応じました。
男性は「メーカーがリコールをしっかりしていたらこのような事故にならなかったのではないか」と述べました。

ことし7月、デンソーが製造した燃料ポンプが原因で鳥取市の鳥取自動車道を走行中にエンジンが止まり、停車していた軽乗用車が後続車に追突されて後ろの席に座っていた82歳の男性が死亡しました。
この事故で死亡した男性の息子で追突された車を運転していた兵庫県に住む50代の男性がNHKの取材に応じました。
男性は、当時の状況について「急に減速しはじめたのでおかしいと思ってアクセルを何回も踏み直したが、全くエンジンが反応しなかったので壁に寄せて停車させた。何回かエンジンの再始動を試みたが完全に動かない状態になって追突された」と振り返りました。
またいっしょに車に乗っていて足の骨を折るなどの大けがをした母親が事故の影響で介護が必要になり、この男性は現在、仕事を退職して介護に専念しているということです。
この車を製造したホンダは、事故が起きたあとのことし10月、軽乗用車に載っていた燃料ポンプのリコールを国土交通省に届け出ています。
男性は「事故を起こしにくい車だということで購入したのに、こんな事故になって悔しい。メーカーがリコールをしっかりしていたらこのような事故にならなかったのではないか」とデンソーとホンダの対応に強い不満を示しました。

ホンダは「事故の被害者の方のご冥福をお祈りします。一刻も早く不具合の可能性がある燃料ポンプを回収し、正しいポンプに換えさせていただきたい」とコメントしています。
デンソーは「個別の事故について把握できる立場にはなく、現在、社内で確認中です」とコメントしています。