姫路 書写山円教寺の「摩尼殿」が国の重要文化財に

姫路市にある書写山円教寺(しょしゃざん・えんぎょうじ)の「摩尼殿(まにでん)」と呼ばれる建物が、新たに国の重要文化財に指定されることになりました。

国の重要文化財に指定されるのは、姫路市にある天台宗の寺、書写山円教寺の建物の1つ「摩尼殿」です。
円教寺は、平安時代に高僧、性空(しょうくう)が開き、室町時代に建てられた本堂にあたる大講堂など8件13棟はすでに国の重要文化財に指定されています。
今回指定される「摩尼殿」は、10世紀に創建され、一時期は本堂として使われていましたが、15世紀と大正時代に2度の火災に遭い、今の建物は昭和8年に再建されたものです。
しかし、消失前の規模や構成を踏襲して設計されていて、随所に中世の日本建築の特徴が施されているということで、国の文化審議会は、「全体のバランス、細部ともに質が高い均斉のとれた近代の寺院建築の傑作として意匠的に優れている」と評価し、重要文化財への指定を文部科学大臣に答申しました。
兵庫県内で国の重要文化財に指定される建造物は、これで113件274棟となります。

国の重要文化財に指定されることになったことを受けて、書写山円教寺の大樹玄承住職は「兵庫県の宝である書写山円教寺の摩尼殿を国としても評価してくれたのだと思います。平安時代半ばの西暦970年に創建された摩尼殿は、鎌倉時代に大きな建物に建て替えられ、その後、大正時代に焼けてしまいましたが、昭和8年に鎌倉時代と変わらない大きさで再建されました。再建に携わった人たちの高い技術と観音信仰を表した建物を、訪れる人たちに見てもらいたい」と話していました。