淡路島産牛乳の消費拡大へ パンメーカーなどが新商品を開発

淡路島特産の牛乳をアピールし、消費拡大を図ろうと、大手パンメーカーなどが淡路島の牛乳を使ったメロンパンを開発し、販売しています。

開発されたのは、淡路島の牛乳で作ったクリームを詰め込んだメロンパンです。
10月3日には、洲本市にある県の出先機関、淡路県民局を商品を開発したパンメーカーの担当者などが訪れ、藤原祥隆局長に商品化への思いを報告しました。
この取り組みは、地域の特産品を使った商品開発を進める大手パンメーカーのプロジェクトの一環で行われ、出荷が落ち込む淡路島の牛乳の消費拡大につなげようと開発されました。
メーカーによりますと今回の商品で、淡路島の牛乳をおよそ120キログラム使用することが目標だということです。
今月(10月)1か月間限定で県内や中国・四国地方のスーパー400店舗あまりで販売され、期間中は一部の店舗では淡路島の牛乳もあわせて販売する予定だということです。
「四国シキシマパン」の製品開発グループの佐々木夢花さんは、「商品化によって淡路島や兵庫だけではなく、中国・四国地方のお客様にも手に取っていただく機会が増えると思います。淡路島牛乳を知っていただくよい機会になれば」と話していました。
また、島内の生乳のほとんどを扱う「淡路島牛乳」の鳥井俊廣社長は、「牛乳を使った食品開発で消費の拡大を考えていただき非常にありがたいです。今後もさまざまなメーカーとタイアップし、企画を私たちからも提案していきたいです」と話していました。

【値上げで島の牛乳出荷量減】
関西有数の牛乳の産地、淡路島のメーカーでは、この夏の牛乳の出荷量が去年の同じ時期と比べて15%ほど落ち込んでいて、背景には、値上げによる消費者の買い控えがあるとみています。
淡路島は、島の温暖な気候と、自然豊かな環境で質の良い生乳がとれると広く人気を集めていて、関西有数の牛乳の産地です。
兵庫県によりますと、ことし2月の時点で島内では100軒ほどの酪農家がおよそ4000頭の乳牛を飼育していて、生産される生乳は昨年度(令和4年度)はおよそ2万4000トンと県内の30%ほどを占めています。
島内で生産される生乳のほとんどを扱っている南あわじ市のメーカーでは、ことし8月の牛乳全体の出荷量が前の年の同じ時期と比べて15%ほど落ち込んだということです。
会社では、原材料をはじめ製造コストが高騰しているため、去年11月に続いてことし8月におよそ8%値上げしましたが、この影響で消費者が買い控えし、スーパーからの注文が減ったとみています。
「淡路島牛乳」の鳥井俊廣社長は、「円安で牛の餌代も下がらず、高値が続いているので、酪農家も大変ですし、値上げせざるをえませんでした。値上げすると消費の低迷にもつながるので、なかなか大変です」と話していました。
【牛乳値上げの背景は】
メーカーが牛乳製品の値上げに踏み切った背景には、原材料費などの高騰があります。
このうち原料となる生乳は、牛の餌の調達価格がウクライナ情勢や円安で令和2年度と比べて1.6倍に高騰するなど、生産コストが高止まりしていることから、ことし8月の生乳の価格は1キログラムあたり10円上がりました。
また、製造や配送のコストも上がり、経営を圧迫しています。
牛乳を製造する機械の殺菌などには欠かせない高温の蒸気を作るための重油は、この1年半で10%、電気代は30%値上がりしたということです。
このほかにも、牛乳を入れる紙パックや配送にかかる費用など経費全体が大きく上昇し、値上げに踏み切らざるをえなかったとしています。
こうした中、会社では、経費をできるだけ抑えようと、出荷前の商品を保管する冷蔵庫で冷却ファンを常時稼働するものから、一定の温度以上になった時だけ稼働するものに入れ替えるなど、コストの削減に努めています。