山陽道 車両火災で損傷 通行止め続くトンネル内部を報道公開

車両火災による損傷が激しいため、通行止めが続いている兵庫県の山陽自動車道のトンネル内が、20日、報道各社に公開されました。

今月(9月)5日、兵庫県赤穂市と相生市にまたがる山陽自動車道の尼子山トンネルの下り線で、トラック1台が炎上したのをきっかけに、よけようとした車が相次いで追突事故を起こし、8人が重軽傷を負ったほか、トラックの後続の車も延焼しました。
道路を管理する西日本高速道路は20日、報道各社にトンネル内を公開しました。
現場の尼子山トンネルは、長さおよそ600メートルで、入り口からおよそ400メートルほどの場所でトラックが炎上したほか、運転手が避難してそのまま止まっていた後続の車、合わせて23台にも燃え移りました。
煙がトンネル内に充満したため、消火活動は難航したということで、長時間の火災によって、壁や天井のコンクリートは広い範囲ではがれ落ち、路面には黒い燃えかすが積もっていました。
トンネル内の損傷が激しいため、山陽自動車道の播磨ジャンクションと赤穂インターチェンジの間の下り線は、2週間以上がたった今も通行止めが続いています。
西日本高速道路は、今後、壁や天井のコンクリートの強度を調べたうえで、復旧工事を進める予定ですが、着工の見通しは立っていないため、通行止めの解除には相当の日数がかかるとしています。

【う回路では渋滞も】
山陽自動車道の通行止めを受けて、西日本高速道路は、中国自動車道や国道2号など、周辺の道路へのう回を呼びかけていますが、ところによっては渋滞が発生するなど影響も出ています。
近畿地方整備局によりますと、国道2号の岡山との県境付近では、1日の交通量が、通行止めの前の平日の平均と比べて2倍あまりに増えているということです。
特に、▼午前10時台と▼午後4時から午後5時台にかけては、長距離にわたって渋滞が発生しているということです。
近畿地方整備局は、利用時間の分散を呼びかけるとともに、公式のホームページやSNSで、最新の交通情報を確認してほしいとしています。

【バス会社にも影響が】
下り線の一部で通行止めが続いていることから、岡山県内の貸し切り観光バスを運行する会社も、遅れが生じるなど影響が出ています。
影響が出ているのは、岡山市で貸し切り観光バスなどを運行する「下電観光バス」です。
この会社のバスは関西から岡山に戻ってくる場合、通行止め区間の手前でいったん一般道に下り、岡山県に入ってから再び高速道路を利用しています。
会社によりますと、この区間を高速道路で走行すると20分から30分程度ですが、一般道にう回すると30分から1時間ほどさらに時間がかかり、遅れが生じているということです。
いまの時期、岡山県と関西との間を1日1本から2本程度運行していて、今後、修学旅行が増える秋の観光シーズンは、多い日には1日5本から10本程度の運行を見込んでいます。
そこで、会社は利用者にお願いをして、出発時間を30分ほど早めたり休憩時間を短くしたりして、余裕のある運行を心がけているということです。
下電観光バスの猶原智行輸送管理部長は「通行止めということでどうすることもできないが、いつ再開するのか早く見込みを知りたい」と話していました。