建設アスベストの給付金 死亡男性のめいなどが賠償求め国提訴

建設現場などでアスベストを吸い込んで、中皮腫を発症して亡くなった兵庫県の男性のめいなどが、国の給付金の受給対象者を、一部の親族に限るのは不当だとして、国に賠償を求める訴えを起こしました。

神戸地方裁判所に訴えを起こしたのは、1966年から2019年にかけて、電気設備の工事を請け負っていた兵庫県の男性のめいやおいなど、親族あわせて3人です。
アスベスト被害をめぐっては、給付金を支給する救済制度が設けられていますが、厚生労働省は被害者本人や配偶者のほか、子どもやきょうだいなど一部の親族に限っています。
原告によりますと、男性は建設現場でアスベストを吸い込んで、2020年に悪性胸膜中皮腫で亡くなり、労災が認められました。
その後、男性の兄が給付金を申請しましたが、支給が決定する前にその兄も亡くなり、国からは請求権を持つ人がいないため手続きを終えると告げられたということです。
このため、男性の兄の妻、それにめいやおいの合わせて3人が、給付金の受給対象者を本人や一部の親族に限るのは不当だと主張し、慰謝料としてあわせて1300万円の賠償を求めました。
原告で、男性のめいは「叔父とはずっと一緒に生活していて、私にとっては父のような存在だったが、国に家族ではないと言われている気がした。私たちと同じように泣き寝入りしている人もたくさんいるはずなので国に対応を求めたい」と話していました。