防災対策工事で移設 西宮市の日本最古の現役木造灯台で作業

現役の木造の灯台としては、日本で最も古い西宮市の「今津灯台」について、周辺での津波や高潮の対策工事に伴い、1日、対岸に移設する作業が行われました。

西宮市にある現在の「今津灯台」は、およそ160年前の江戸時代末期に、地元の酒蔵によって建てられ、長年、酒を積み込んだ船などの航行の安全を見守ってきました。
現役の木造の灯台としては、日本で最も古く、市の重要有形文化財にも指定されています。
しかし、南海トラフ巨大地震による津波や台風による高潮への対策で、新たに防潮堤が建設されることになり、現在、灯台がある場所には水路が設けられることから、移設が決まっていました。
1日は、早朝から作業が行われ、まず、高さ6メートル、重さ3トンほどの灯台が倒れないように固定した囲いにロープを取り付けたあと、クレーンでつり上げて、台船に載せました。
その後、灯台はおよそ160メートル離れた対岸の新しい設置場所のそばに移動し、作業員がバランスをとりながら丁寧に置いていました。
「今津灯台」を所有する西宮市の酒造会社の担当者は「灯台を宙に浮かせたり船に載せたりする経験がなく、無事にできるのか、心配していましたが、問題なくできてほっとしています。これからも地域に愛される灯台であり続けてほしいです」と話していました。
「今津灯台」では、来月にかけて土台部分の移設も行われ、来年2月には明かりが再びともされる予定です。