神戸市の高校生殺害事件の裁判 医師「詐病の可能性が高い」

13年前、神戸市の路上で高校2年生の男子生徒を刃物で刺して殺害した罪に問われている当時17歳の元少年の裁判で、9日は、弁護側の請求で被告の精神鑑定を行った医師への尋問が行われ、医師は「統合失調症を装った詐病である可能性が高い」と述べました。
元少年は、殺意を否認しています。

2010年10月、神戸市北区の路上で近くに住む高校2年生の堤将太さん(当時16)をナイフで刺して殺害したとして、当時17歳の元少年(30)が殺人の罪に問われています。
7日に神戸地方裁判所で開かれた初公判で、元少年は、殺意を否認し、弁護人が「被告は、事件当時、心神耗弱の状態だった」と主張した一方、検察側は「完全責任能力がある」と指摘していました。
9日の裁判では、弁護側の請求で元少年の精神鑑定を行った医師への尋問が行われました。
医師は「被告は、供述に関する特徴が詐病の具体的特徴の10項目のうち8項目に該当することなどから、統合失調症を装った詐病である可能性が高い」と指摘しました。
その上で、「幻聴や妄想などの体験による社会生活への影響は見られず、当時、異常な心理状態ではなかった」と述べました。
また、弁護側が「被告は、事件前にリストカットをしていて、社会生活に影響を与えていたのではないか」と問うと、医師は「事件の翌日に塾に行くなど、社会生活に影響は出ておらず、自傷行為だけで精神障害があるとは言えない」と述べました。
裁判は、今月12日に結審し、23日に判決が言い渡されます。