新しいJR三ノ宮駅ビル 6年後の開業目指し準備工事始まる

JR西日本が、6年後の2029年度に開業を目指しているJR三ノ宮駅の新しい駅ビルの準備工事が、5日夜から始まりました。
来年(2024年)春にはビルの本体工事に着工する予定です。

JR西日本は、JR三ノ宮駅前に、神戸の地場産業や食文化などを発信する商業施設のほか、ホテルやオフィスなどが入る高さおよそ160メートルの新たな駅ビルの建設を予定していて、2029年度の開業を目指しています。
神戸市は、駅ビルと周辺の私鉄の駅などをつなぐ歩行者デッキを整備するなど、準備工事を進めていく予定で、5日の夜から、工事が始まりました。
今後、これらの準備工事に伴い、三宮交差点付近の車道を狭めて車線を規制するほか、駅の南側のロータリーの閉鎖などを予定しているということです。
ことしは、建設予定地にある既存の施設の撤去や、通路の切り替えなどが中心に行われ、来年春にはビルの本体工事に着工する予定です。
神戸市は、車線規制の時期など詳細については、工事の進捗状況などを踏まえ、市のホームページで周知することにしています。
神戸市都心再整備部の原田充 部長は、「震災の影響で新しい街への投資が難しく、近隣地域と比べても遅れている。神戸には新幹線も空港もあり、再整備事業が完成すると集客力を持つ地域となるので、より多くの観光客に訪れて欲しい」と話していました。

【三宮の抱える課題とは】
神戸市は、これまで予算の多くを阪神・淡路大震災からの復興に割いてきたため、再開発に取り組むのが遅れ、周辺の大都市と比べても中心部・三宮は課題が残されたままでした。
課題の一つが、“電車の乗り換えの動線のわかりにくさ”です。
三宮にはJRや私鉄、地下鉄など6つの駅があり、1日あたりのべ70万人が利用していますが、それぞれの駅が分散していて乗り換えがわかりにくく、統一感がありません。
また、中心部を幹線道路や線路が通り、駅の北側と南側が分断されているため移動が不便で、回遊しにくいというのも課題です。
さらに、老朽化した建物の建て替えが進まず、小規模なビルが密集しているほか、神戸の玄関口としてふさわしい特色ある景観がないといった課題もあります。

【三宮の再整備計画とは】
神戸市は、市中心部の三宮を神戸の玄関口にふさわしく魅力的な空間にしようと、民間企業とも協力して2050年までおよそ30年をかけて段階的に再整備する計画です。
民間の事業と合わせると、再整備への投資はあわせて7400億円を超えると見込まれています。
市は、地域全体の魅力向上のためには、JRや私鉄など6つの駅を含む中心エリアの再整備が最も重要だとしていて、駅の乗り換えがわかりにくいという課題に対しては、6月から工事が始まったJR三ノ宮駅南側の新しい駅ビルと、それぞれの駅をデッキなどでつなぎ、動線を改善する方針です。
また、駅周辺に分散しているおよそ10か所の中・長距離バス乗り場を中央区役所の跡地に集約し、バスターミナルを整備する計画です。
このバスターミナルには、バス乗り場のほかに神戸限定の店舗などが入る商業施設や図書館、そして、1800席程度のホールも整備される方針で、2027年度の開業を目指しています。
さらに、市は幹線道路の車線を減らして歩道を拡張し、歩行者を中心にした街にすることでにぎわいを作り出そうとしています。
将来的には、テラスや花壇などの整備や、キッチンカーが出店できる場所を確保するほか、歩行者が休憩できるベンチなども設置することにしていて、神戸の玄関口としてふさわしい通りを目指します。
市によりますと、雇用の増加や消費の拡大によっておよそ1兆1000億円の経済波及効果を見込んでいるということです。