神戸出身の作曲家 大澤壽人の作品を地元で演奏 世界初上演も

戦前から戦後にかけて活躍した神戸市出身の作曲家、大澤壽人の作品を紹介するコンサートが、市内のホールで行われました。

大澤壽人は、1933年、日本人で初めてボストン交響楽団を指揮するなどアメリカやヨーロッパで高い評価を得て47年間の生涯で1000近い作品を残しました。
ことしは大澤の没後70年となることから功績を多くの人に知ってもらいたいと、19日、出身地の神戸市にある「神戸文化ホール」で開かれたコンサートの中で、大澤が戦時中に作曲した作品、「ベネディクトゥス幻想曲」が、演奏会としては世界で初めて上演されました。
世界的に活躍する山田和樹さんの指揮で大勢のオーケストラや合唱団によって奏でられ、訪れた1000人余りの人たちは美しい音色に聴き入っていました。
神戸市に住む30代の男性は「ストーリー性がある曲で、物語が見えてくるような、すごく特徴的な曲でした。音の強弱で、悲しい部分とか強い部分を感じられるようで、今の時代だからこそ心に響いてくる曲だと思います」と話していました。
演奏会を主催した神戸市民文化振興財団の服部孝司 理事長は「きょう演奏した曲は、戦争中、彼が平和を祈ってつくった曲で、ウクライナの情勢など平和を脅かす問題が起きている今の時代にもぴったりの曲だと思います。彼のことはまだまだ知られていないので、神戸から、全国の人に発信していきたい」と話していました。